HPVワクチンの「信頼」はどこで挫かれたか
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子宮頸がんは20〜40歳代の妊娠・出産、育児期という女性のライフステージにおいて重要な時期に発症し、年間3,000人が死亡する深刻な疾患だ。医療者は子宮頸がん患者の現実と、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種が子宮頸がん予防策となることを理解しているが故に、現状にじくじたるものを覚えている。どうすれば一般市民にその意義が伝わるのだろうか。医療人類学者で国際医療福祉大学大学院保健医療学准教授の磯野真穂氏は第10回日本プライマリ・ケア連合学会(5月17〜19日)の「HPVワクチンシンポジウム」において、国が早急に態度を明確にすることが最も重要であると強調。その上でHPVワクチンの問題が複雑化した背景には、このワクチンを取り巻く信頼の醸成失敗および信頼の破綻があると指摘。専門家から見た正しい情報を一般市民に伝えて正しい選択を促すというアプローチでは不十分であり、プライマリケア医は「真の不確実性」に悩む一般市民/患者に対し、信頼を醸成した上での何らかの方向性を示す必要があると述べた。