結核が尿で診断できるようになった!!
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The Lancet(2019; 393: 1642-1656)に結核の総説がありました。この数年で薬剤感受性結核の治療にはたいして進歩はありませんでした。しかし薬剤耐性結核治療では大きなブレイクスルー(breakthrough)がありました。特に真打ちベダキリン(商品名サチュロ、2018年薬価収載)と小児結核に対するデラマニド(デルティバ)の登場です。長く使用されてきたアミノ配糖体系抗菌薬(カナマイシン、アミカシン、capreomycin)が結核治療から消え去ろうとしています。
また結核診断でも大きな進歩がありました。尿LAM (lipoarabinomannan)testといって、なんと結核が尿検査で分かるようになりました!! 肺炎球菌やレジオネラの尿中抗原と同じようなことができるようになったのです。RFP(リファンピシン)耐性も培養などしなくても遺伝子検査XpertMTB/RIF testで2時間で分かるようになりました。なんと小児では大便でも検査可能なのです。
この大興奮のThe Lancet「結核」総説をまとめました。最重要点は下記14点です。
- 薬剤感受性結核はRFP、INH、PZA、(EB) 2カ月の後、RFP、 INH 4カ月
- 尿lipoarabinomannanで結核分かる! HIVでCD4<100の結核全患者で推奨!
- 低い経済社会的地位、室内空気汚染、喫煙、少ない窓は結核の強力な予測因子
- RFP耐性に遺伝子検査XpertMTB/RIF testは迅速有用、「大便」でも可能
- 潜在性結核診断にツ反、IGRA。活動性結核への進展は下記サイトで計算(The online TST/IGRA Interpreter version 3)
- 薬剤耐性検査は次の10年、 whole-genome sequencingが主流となる
- INH耐性結核治療はキノロン追加しRFP、PZA、EB+キノロン±INH
- RFP耐性結核にベダキリン(サチュロ)加えて成功率75%!
- RFP耐性に全経口:サチュロ+ザイボックス+クラビットにランプレン/サイクロセリン。6歳以下デルティバ優先
- Pretomanidで劇症肝炎? 再創出薬にザイボックス、ランプレン(ハンセン病薬)
- アミノ配糖体はもはや使用しないので超多剤耐性結核(XDR)分類の意味がない
- BCGは小児結核感染を30%減らす。新ワクチンM72/AS01登場
- 結核予防にINHに代わりRFP単独、または併用も可能
- DOTの効果は高くはない。スマホ、digital pillbox利用も考慮