特発性潰瘍が増加、早急な対策を

 Helicobacter pyloriH. pylori)陰性かつ非ステロイド抗炎症薬(NSAID)に起因せず、原因が特定できない消化性潰瘍は特発性潰瘍に分類される。高齢、動脈硬化などの基礎疾患、心因性ストレスなどが誘因とされるが、有効な治療法は確立されていない。日本での発症頻度は数%と考えられていたが、最近はH. pylori感染率の低下や高齢化率の上昇に伴い12%程度とする報告もあり、さらなる増加が懸念される。JA北海道厚生連旭川厚生病院消化器科医長の田中一之氏は、第47回日本潰瘍学会/第21回日本神経消化器病学会(2020年1月16~17日)で同院が経験した特発性潰瘍の4例を紹介し、早急な対策の必要性を訴えた。