日本で撲滅寸前のHCVにワクチンは必要か?

 C型肝炎に対する治療は直接作用型抗ウイルス薬(DAA)の登場によりほぼ全てのウイルスを排除できるようになり、わが国では「撲滅」も視野に入っている。しかし、世界的規模で見ると、DAAの恩恵にあずかれるのは患者のわずか1~2%でしかない。大阪大学微生物病研究所分子ウイルス分野教授の松浦善治氏は第23回日本ワクチン学会(2019年11月30日~12月1日)で、C型肝炎ウイルス(HCV)を排除しても肝がん発症のリスクが残る、再感染の可能性があるなどの問題点を指摘した上で、HCVワクチンの必要性を強調した。さらに、開発中のワクチンを解説するとともに、有効なワクチン開発の方向性を示した。