薬物依存症治療に"自己治療仮説"の視点を

 かつて薬物依存症の原因は患者の快楽希求的、もしくは自己破壊的な性格に求められていたが、その後多くの仮説に基づく検討が行われ、いずれも今日では否定されている。国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部部長の松本俊彦氏は、自身が抱える困難や苦痛を緩和しようと試みた結果、依存症に陥るという"自己治療仮説"を援用して薬物依存症の原因を考察し、望ましい治療の在り方を第26回日本行動医学会(2019年12月6~7日)で示した。