医療処置でコロナ感染、学会が緊急提言

 新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染症(COVID-19)の鎮静化が見られない中、日本呼吸器内視鏡学会は3月3日、「COVID-19及び疑い症例に対する気管支鏡検査における注意喚起」の第2報を発表した。

「対面式のジャクソンスプレーを用いた局所麻酔は行わない」など4項目

 コロナウイルスの感染経路は飛沫感染、接触感染が基本であり、2019-nCoVも主な感染経路は同様であるとされている。しかしながら、医療現場で気管挿管などの専門的な医療処置を行う場合など、特定の特殊な条件下ではエアロゾルによる感染の可能性が指摘されている。とりわけ気管支鏡検査室など密閉された空間で、高濃度の汚染されたエアロゾルに一定程度の時間曝露した場合には、エアロゾルによる2019-nCoVの伝播が起こりうると考えられるため、COVID-19症例あるいは疑い症例でやむをえず気管支鏡検査が必要である場合には、局所麻酔についても可及的にエアロゾルを発生させない配慮が必要となる。

 そこで、日本呼吸器内視鏡学会では2月17日付で、抗生剤不応で原因不明のびまん性陰影を呈する全ての症例において、気道分泌物の吸引、気管内挿管、気管支肺胞洗浄(BAL)などの処置を行う場合の感染予防策について、表1のような緊急提言を行っていた。

表1 緊急提言第1報

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 今回、その第2報として、COVID-19症例あるいは疑い症例でやむをえず気管支鏡検査を行う際の緊急提言を行った。従来、気管支鏡検査では、ジャクソンスプレーによる咽頭・喉頭・気管麻酔が行われているが、その際に生じる咳嗽により多くのエアロゾルが発生する危険性があるとして、代替の具体策を表2のようにまとめている。同学会では、「これらによりジャクソンスプレーで咽頭・喉頭・気管麻酔を行った場合と同等の検査が可能と考えられるが、あくまで各施設の事情、気管支鏡検査受診者の状況に応じた変更が適宜必要である」としている。

表2 緊急提言第2報

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編集部