公正さを巡る認識のズレが精神的健康に影響

 日本では多くの労働者が「仕事や職業生活に関して強い不安、悩みまたはストレス」を感じている(厚生労働省『労働者健康状況調査』および『労働安全衛生調査』)。職場でのストレス要因の1つに「組織公正性」がある。組織公正性とは、組織における意思決定の過程や結果の公正さ、さらには対人関係の公正さを表す包括的な概念である。医療科学研究所(東京都)の横内陳正氏は、従業員が知覚する組織公正性(公正性知覚)の相対的水準と精神的健康との関連を調査(Int Behav Med 2019; 26: 306-15)。精神的健康の維持には、職場全体の公正性の改善に加えてインクルーシブ(包摂的)な職場風土の醸成が重要であると、第93回日本産業衛生学会(6月12〜28日、ウェブ開催)で報告した。