マダニ媒介の新興感染症にアビガンが有効

 日本国内で2013年に患者が初めて確認されて以来、西日本を中心に600例(2020年末時点)近い感染例が報告されている重症熱性血小板減少症候群(SFTS)。ダニが媒介する新種のウイルス感染症で、SFTSを発症したペットのネコやイヌからヒトに感染し、死亡例も報告されている。致死率が3割前後と極めて高く、予後不良である。愛媛県立医療技術大学学長の安川正貴氏は、第118回日本内科学会(4月9日~11日、ウェブ併催)で医師主導臨床試験および企業治験で有効性が認められ、承認申請の手続き段階にある抗ウイルス薬のファビピラビル(商品名アビガン)について期待感を示した。一方で、東日本のマダニからSFTSウイルスが検出されたことから、「今後は感染地域の拡大が十分予想される。東日本で医療に当たる先生方もSFTSを念頭に置いて感染症の鑑別診断を行ってほしい」と訴えた。