終末期がん患者の至適な腹腔穿刺排液量は?

 悪性腹水(悪性腫瘍に関連した腹腔内の異常な液体貯留)は腹部膨満や呼吸困難などさまざまな苦痛の原因となる。腹腔穿刺は難治性の悪性腹水に対して最も広く施行される治療法である。しかし、終末期がん患者の至適な排液量は明確になっていない。ガイドラインでは安全性への懸念から、大量排液ではなく1~3Lの排液が推奨されているが、十分なエビデンスはない。東京大学医科学研究所付属病院緩和医療・先端臨床腫瘍科の伊藤哲也氏は、排液量ごとの有効性と安全性を比較して至適な排液量を探索した多施設共同前向き観察研究(EASED studyの付帯研究)の結果を、第26回日本緩和医療学会(2021年6月18~19日、ウェブ併催)で報告した。