献体を用いた手術トレーニングの実際

 医療技術の進歩に伴い、手術手技がより高度かつ複雑化する一方で、技術伝達や実習の不十分が原因で合併症、医療過誤が生じる事例が報告され、問題視されている。そうした中、献体(cadaver)を使用した手術手技向上を目的とするCadaver Surgical Training(CST)は生体の組織再現度が高く、手術手技習得に有用であることから、実施施設が増加しつつある。神戸大学病院食道胃腸外科の都鍾智氏は、第76回日本消化器外科学会(7月7~9日、ウェブ併催)で飽和食塩溶液固定(SSS)法を用いたCSTの有用性について発表。現在、一般的な固定法である低濃度ホルマリンと食品添加物を用いたThiel法に比べ、SSS法は組織の再現性やコスト面で優れており、同大学病院におけるSSS法を用いたCST実施後アンケートでは、ほぼ全ての参加者がスキルアップを実感するなど、満足度の高い結果が得られたと報告した。