HPV感染率上昇、ワクチン勧奨中止の代償

 厚生労働省専門部会は11月12日、2013年以降中止していた子宮頸がんの予防に有効とされるヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種の積極的勧奨の再開を了承し、ワクチン接種推進に向け大きく舵を切った。新潟大学大学院産婦人科教授の榎本隆之氏、准教授の関根正幸氏らの研究グループは、積極的勧奨中止がHPV感染にもたらした影響やワクチンの予防効果を検証。第59回日本癌治療学会(10月21~23日、ウェブ併催)で、積極勧奨中止後に「若年女性の間でHPV感染率がワクチンを接種していない世代と同水準まで上昇している」と危機感を示した。一方で、ワクチン接種者では9割超のHPV感染予防効果が確認され、接種から9年経過後も持続していたことを報告した。研究の詳細はLancet Reg Health West Pac2021; 1b: 100300)に発表されている。(関連記事「HPVワクチン再開後の課題は?」)