急性中毒への胃洗浄、"1時間神話"撤廃を

 現在、編集作業が進行中の日本中毒学会編『新・急性中毒標準治療ガイド(仮称)』(以下、新ガイド)における改訂ポイントの1つが消化管除染である。急性中毒に対する胃洗浄は有効性のエビデンスに乏しく、欧米を中心に推奨しないという見解が主流になっているものの、依然として国内外で薬毒物摂取後1時間以内の患者に胃洗浄が施行される事例が散見される。高知大学災害・救急医療学准教授の宮内雅人氏は第49回日本救急医学会(11月21〜23日、ウェブ併催)で、「2008年刊行の『急性中毒標準診療ガイド』に『(薬毒物摂取から)1時間以内に実施することが望ましい』との記載があることで、1時間以内という基準が独り歩きしている」と指摘。新ガイドでは胃洗浄をはじめ、活性炭投与などの治療における時間的な施行基準を撤廃し、根強く残る"1時間神話"の是正を図る意向を示した。