児童虐待と脳死下臓器提供を取り巻く問題

 2010年7月に「改正臓器移植法」が施行され、15歳未満の児童でも家族の承諾があれば脳死下臓器提供が可能となった。しかし、小児の臓器移植ではいまだドナー不足が続いている。原因の1つとして、被虐待児からの臓器移植を禁じる附則があるなど、実際の臨床現場にそぐわないという問題が存在する。そこで、埼玉県立小児医療センター外傷診療科科長/埼玉医科大学総合医療センター高度救命救急センター客員教授の荒木尚氏は、厚生労働省科学研究事業「小児からの臓器提供に必要な体制整備に資する教育プログラムの開発」で、論点の整理と体制の整備を進めている。第27回日本脳神経外科救急学会(2月4~5日、ウェブ開催)での報告を紹介する。