小児期の逆境は認知症に関連、人の絆で軽減

 小児期に親との離別、虐待、ネグレクトや家庭内暴力など逆境体験をすると、生涯にわたって健康障害のリスクが生じることが知られている。東京医科歯科大学国際健康推進医学の谷友香子氏は、高齢者の大規模コホート研究データを用いて小児期の逆境体験と認知症発症との関連を検証するとともに、人と人とのつながりや信頼関係を意味するソーシャルキャピタル(SC)が逆境体験によって生じる認知症発症リスクを緩和できるかを検討。逆境体験が多い人ほど認知症リスクは上昇するものの、SCのスコアが高く、人や社会との絆が育まれた人では認知症の発症リスクが低下するとの研究結果を、第32回日本疫学会(1月26~28日、ウェブ開催)で報告した。