RAS遺伝子変異発がん機構に弱点を発見

 RASは細胞増殖に関わる蛋白質で、KRAS、NRAS、HRASの3種類がある。これらの遺伝子に変異が起こると、発がんが促進されることが知られている。国立がん研究センター研究所分子病理分野の小林祥久氏と米・Dana-Farber Cancer InstituteのPasi A. Jänne氏らの国際共同研究チームは、KRAS遺伝子変異の1つであるQ61KがRNAへの転写時に異常なスプライシングを起こすと、薬剤耐性が消失することを発見した。さらに、人為的にがん細胞にのみ異常なスプライシングを起こす核酸医薬をデザインし、細胞とマウスで実験した結果、増殖が阻害されたとNature2022年3月2日オンライン版)に報告した。