経験知から双極性障害の薬物治療を再考

 ランダム化比較試験(RCT)などの科学的根拠に基づき、系統的な手法により作成された診療ガイドライン(GL)は実臨床の重要な手引きとなる。ただし精神科領域では同一疾患でも極めて多様な症例が存在し、エビデンスに基づく治療のみでは到底診療が成り立たない。第118回日本精神神経学会(6月16~18日)では、「エビデンスに偏りすぎない臨床の知恵」と題し、経験知から薬物治療を再考するシンポジウムが開催された。双極性障害の薬物治療について自身の臨床経験を交えて検討し、推奨治療を紹介した熊本大学大学院生命科学研究部神経精神医学講座准教授の朴秀賢氏の発表を紹介する。