腎移植後の十分な蛋白摂取で予後改善

 慢性腎臓病(CKD)患者では、腎機能低下に伴う栄養摂取量の減少、身体活動の低下により、骨格筋量が減少する。また過剰な蛋白質の摂取は腎機能低下につながるため、腎機能保護の観点から制限するという考えが一般的だった。一方、厳格な蛋白質制限はサルコペニアのリスクを高め、生命予後の悪化に関連するとの指摘もある。大阪公立大学大学院泌尿器病態学の香束昌宏氏らの研究グループは、腎移植レシピエントを対象に骨格筋量と蛋白質摂取量との関連を検討するコホート研究を実施。その結果、移植12カ月後の骨格筋量と蛋白質摂取量は正の相関を示し、十分な蛋白質を摂取することで骨格筋量が維持され、サルコペニアの予防や生命予後の改善が期待できるとClin Nutr2022 ; 41: 1881-1888)に発表した(関連記事「蛋白質制限は患者に害をなす医療?」)。