メニューを開く 検索

トップ »  疾患・健康ニュース「あなたの健康百科」 »  閉塞性睡眠時無呼吸が減量で改善―スウェーデン研究

疾患・健康ニュース「あなたの健康百科」一覧

閉塞性睡眠時無呼吸が減量で改善―スウェーデン研究

 2011年08月05日 17:00

 【ロンドン】スウェーデン・カロリンスカ研究所のKari Johansson氏らは、眠っている間にたびたび呼吸が止まる閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の症状を持つ肥満男性を対象とした研究を行い、肥満男性が減量するとOSAが改善し、効果は特に重度肥満例で高いとの研究結果を英医学誌「BMJ」(2009; 339: b4609)に発表した。同氏らによると、減量群の約半数が軽症化したという。

9週間で18.7キロの減量を実施

 OSAとは、睡眠中に舌の付け根や上あごの軟口蓋(なんこうがい)が気道に落ち込むなどの原因により、無呼吸が10秒以上続く状態を言う。中等度~重度のOSA(無呼吸および低呼吸が1時間に15回以上発生する状態)では、自動車事故や心臓病、死亡のリスクが上昇する。これまで、減量がOSAに及ぼす効果を検討した試験は1件しかなかった。

 Johansson氏らは、中等度~重度OSAの肥満男性を対象に、低カロリー食による治療効果を検討した。試験には、中等度~重度OSAのため持続陽圧呼吸療法(CPAP:睡眠中に呼吸補助マスクを着用する治療法)を受けている30~65歳の肥満男性(肥満指数=BMI 30~40)63例が参加した。

 30例に超低カロリーの液体食を7週間摂取させて体重減少を促し、その後2週間かけて徐々に普通食に移行させた。33例は対照群として通常の食生活を9週間継続した。試験期間中、両群の体重、腹囲、体脂肪を定期的に測定し、指示通りの食事が守られているかどうか確認した。減量群では、来院のたびに1時間のグループセッションを実施してグループのメンバー同士が支援を行うようにし、やる気の維持を図った。

 9週間後、減量群の体重は平均で18.7キロ減少し、30例中22例(73%)は肥満の定義から外れた。一方、対照群では平均1.1キロの減少にとどまり、全例とも肥満のままだった。

減量群の17%は無症状に

 減量群の無呼吸低呼吸指数(1時間当たりの無呼吸と低呼吸の回数を合わせたもの)は、試験開始時の平均37から平均12に低下。一方、対照群では平均37からわずかに低下しただけだった(平均35)。また、減量群の30例中5例(17%)では試験終了時までにOSAが発生しなくなり、半数では軽度まで改善した。対照群では1例を除き試験終了時も中等度~重度のOSAが認められた。

 この結果を受けて、Johansson氏らは「低カロリー食により肥満男性のOSAが改善し、特に重度OSAの患者で改善効果が著しかった。今後さらに減量の効果を検証するには、長期治療に関する試験を行う必要がある」と結論付けている。

 オーストラリア国立保健医療研究審議会睡眠学際研究センターのNathaniell S. Marshall氏らは、同誌の付随論評(2009; 339: b4363)で「今回の研究により、ライフスタイル改善による減量は有効で、しかもOSAを無害なレベルまで軽減できることが明らかになった。今後、よく設計された臨床試験を行い、政策担当者、医師、患者らに減量の長期的な有用性を知らしめる必要がある」とコメントしている。

Medical Tribune紙 2010年2月11日号 掲載

ワンクリックアンケート

大阪万博まであと1年

トップ »  疾患・健康ニュース「あなたの健康百科」 »  閉塞性睡眠時無呼吸が減量で改善―スウェーデン研究