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がん診断後でも遅くない! 早期肺がん患者の禁煙で生存率改善

 2011年08月08日 17:06

 たとえ早期肺がんと診断されても、すぐに禁煙すればその後の生存率が改善されるようだ。英国の研究グループが、英医学誌「BMJ」(2010; 340: b5569)に発表した。

 同研究グループは、肺がん診断後に禁煙した場合の予後(回復の見込み)への影響を検討したランダム化比較試験※1または経時的観察研究※2(1966~2008年に報告)のシステマチックレビュー※3とメタ解析※4を行った。

 対象となった10研究中9研究で、大部分の患者が早期肺がんと診断されていた。解析の結果、診断後の喫煙継続によって、早期非小細胞肺がん患者のすべての原因による死亡(全死亡)が2.94倍、再発が1.86倍、限局期小細胞肺がん患者の全死亡が1.86倍、二次原発がん発生が4.31倍、再発が1.26倍に上昇した。がん死亡率に特化して禁煙の影響を検討した研究はなかった。

 得られたデータに基づく生命表では、65歳以上の早期非小細胞肺がん患者の5年生存率は喫煙継続群の33%に対し、禁煙群では70%と推定された。同様に、限局期小細胞肺がん患者の推定5年生存率は喫煙継続群が29%、禁煙群が63%だった。

 喫煙継続群と禁煙群の心臓病と呼吸器の病気による死亡率に有意な差はなく、禁煙による死亡の減少にはがんの進行抑制の寄与が大きいと考えられた。

※1 ランダム化比較試験...被験者を無作為に処置群と比較対照群に分け、効果を測定する研究手法。

※2 観察研究...ランダム化比較試験のような積極的介入を行わず、患者の状況を観察する研究手法。

※3 システマチックレビュー...過去に行われた複数の研究を選別、吟味、要約し、それらが最も良い科学的根拠(EBM)となるかどうかを評価する分析方法。系統的レビュー。

※4 メタ解析...過去に行われた複数の研究結果を合わせて解析し、より信頼性の高い結果を導く分析方法。メタアナリシス。

Medical Tribune紙 2010年2月18日号 掲載

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