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成人の3人に1人が肥満、増加率は緩やかに推移―米調査

 2011年08月08日 17:13

 【シカゴ】米国立保健統計センター(NCHS)のKatherine M. Flegal氏らは、米国では成人の肥満率が依然として高く、2007~08年は成人の3人に1人が肥満だったが、ここ数十年の米国における肥満の増加率は緩やかに推移していることが示唆されたと、米医学誌「JAMA」(2010; 303: 235-241)に発表した。

2000年までの傾向は持続せず

 米国では、国民保健栄養調査(NHANES)で全米的なサンプルの身長・体重データが収集されており、このデータを活用すれば肥満率の傾向を追跡することができる。

 Flegal氏らは「米国の成人の肥満率は、1960年から1980年にかけて比較的安定して推移した後、1976年から1980年以降にわたって約8ポイント増加している。1999~2000年のデータでは、あらゆる年齢層において男女とも肥満がさらに増加していた」と述べている。

 今回の研究では、2007~08年の最新のNHANESデータを分析、1999~2006年のデータと比較した。20歳以上の成人男女5,555人の身長と体重の測定値を基に、体重(キログラム)÷身長(メートル)2によるBMI(肥満指数)を算出。BMI 25.0~29.9を過体重(小太り)、同30以上を肥満と定義した。

過体重以上は68.0%

 分析の結果、2007~08年の肥満率は33.8%だった。男性全体では32.2%で、人種別に見ると、非ヒスパニック系白人の31.9%から非ヒスパニック系黒人の37.3%まで分布していた。女性全体では35.5%で、同じく非ヒスパニック系白人の33.0%から非ヒスパニック系黒人の49.6%まで分布していた。過体重と肥満を合わせて算出したところ、全体で68.0%、男性で72.3%、女性で64.1%だった。

 女性の肥満率は、1999年から2008年までの10年間で統計学的に有意な変化は認められなかった。男性では同期間に有意な変化が観察されたが、最近の3期分(2003~04年、2005~06年、2007~08年)については、それぞれの期間で有意差は認められなかった。

 Flegal氏らは、女性の肥満率について「1976~80年と1988~94年、1988~94年と1999~2000年の間に認められた増加傾向は、1999年から2008年にかけては同程度ではなく、緩やかに推移していた」と説明。男性でもその傾向が示唆されたという。

 同氏らは、今後の課題について「人口レベルで過体重と肥満を予防・治療することは困難。医学的な予防策と肥満成人に対する治療プログラムだけでは不十分で、健康的な食生活と運動につながるよう、社会的および物理的環境状況の改善に人口ベースで取り組む必要がある」と述べ、「環境的介入に力を入れることによって、健康増進と将来的な肥満率の低下が図れるだろう」と付け加えている。

「依然として深刻な問題」

 米マサチューセッツ退役軍人局研究情報センターのJ. Michael Gaziano氏は、同誌の付随論評(2009; 303: 275-276)で「今回の研究結果は、傾向として見れば朗報だが、この緩やかな推移が維持されたとしても、米国の成人の68%が過体重または肥満。依然として深刻な問題だ」とコメントしている。

 Gaziano氏は「肥満がもたらす健康障害リスクを考慮すると、過体重と肥満による影響への意識を向上させるべく大規模な公衆衛生キャンペーンを行う必要がある。積極策の打ち出しに手間取ると、過去40年間に培われた慢性疾患の有病率低下という有意義な成果が相殺されてしまう可能性があり、平均寿命の短縮にもつながりかねない」と警告している。

 Medical Tribune紙 2010年3月4日号 掲載

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