妊娠中の喫煙で子供に血圧コントロール異常―スウェーデン
2011年08月08日 17:13
【米テキサス州ダラス】スウェーデン・カロリンスカ研究所のGary Cohen氏らは「妊娠中に喫煙した女性の子供では、寝た状態から体を起こした際の血圧が上がる反応(昇圧反応)に生後1週から異常が認められ、生後1年間持続する」との研究結果を米医学誌「Hypertension」(2010; 55: 722-728)に発表した。将来の高血圧につながる可能性もあるという。
生後1週で過剰、1年で反応が減弱
人が立っているときには、寝ているときよりも血管を収縮させて血圧を上げ、心拍数を増加させて心臓と脳の血流を保つ。眠っている乳児の身体を水平から起こしたときの血圧変化は、姿勢変化への適応力の指標となる。
今回の研究は、非喫煙者夫婦の乳児19人と、妊娠中に1日平均15本喫煙した女性の乳児17人を対象とした。乳児は出生時に標準体重で、母乳で育てられた。生後1週、3カ月、1年の時点で、乳児が眠っている間に身体を水平から60度まで起こし、次に水平に戻した際の血圧と心拍数の変化を測定した。
たばこの曝露を受けなかった乳児では、体を起こしたときの血圧増加率は生後1週では2%だったが、生後1年では10%となり、姿勢を変化した際の血圧反応が増強した。しかし、喫煙女性の乳児では、生後1週には身体を起こすと血圧が10%も増加したが、生後1年では増加率が4%に減少していた。
また、通常は体を水平に倒すと血圧が低下し正常に戻るが、喫煙者の乳児では身体を倒すと血圧が上昇した。
喫煙女性の乳児では非喫煙者の乳児と比べ、生後3カ月と1年目に体を起こした状態による心拍数の変化が大きかった。眠っているときに、喫煙女性の乳児は非喫煙者の乳児と比べ、生後3カ月時点の拡張期血圧(最低血圧)が高く、生後1年では心拍数が20%低かった。
長期的に悪化させることを示す
Cohen氏は「喫煙女性の乳児は、生後1週には体を起こした状態に対する昇圧反応が過剰なのに、生後1年では体を起こした状態に対する反応が弱くなり、適応が不十分だった。今回の研究は、妊娠中のたばこへの曝露が、乳幼児期の血圧コントロールを長期的に悪化させる可能性があることを、初めて明らかにした」と結論した。
さらに「たばこに曝露された乳児の血圧コントロールの機能的異常が、生後1週という早い時期から検出できたのは驚くべきことだ。さらに、このような異常が1年間継続した」と指摘している。
同氏らは対象とした乳児の追跡を継続し、乳児期の心臓や血管の機能に関する変化が将来の高血圧につながり、高血圧の早期指標となるかどうかなどを検証する予定だ。
Medical Tribune紙 2010年3月4日号 掲載