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禁煙で早期肺がん患者の生存率2倍に

 2011年08月08日 17:13

 【ロンドン】英バーミンガム大学英国たばこ管理研究センターのAmanda Parsons氏らは「早期肺がんと診断された患者でも、禁煙により5年間の生存率が喫煙を継続した患者の2倍になる」との研究結果を英医学誌「BMJ」(2010; 340: b5569)に発表した。

禁煙治療の価値を示す

 喫煙により、原発性肺がんを発症する危険性は増大する。生涯喫煙者の肺がん発症リスクは、非喫煙者の20倍にのぼる。しかし、肺がん診断後の禁煙に効果があるか否かについては不明であった。

 そこでParsons氏らは、肺がん診断後の禁煙が予後に及ぼす影響を検討した10件のコホート研究※1のメタ解析※2を行った。バイアス(偏り)を最小限にするため、研究のデザイン・質の違いを考慮した。

 その結果、早期肺がんと診断された後も喫煙を継続した人では、診断後に禁煙した人に比べ死亡リスクが大幅に高く、肺がん再発リスクも高かった。

 死亡リスク増大の最大の原因はがんの進行であることも示された。また、5年生存率は喫煙継続者の29~33%に対し、禁煙者では63~70%に達することが分かった。つまり、禁煙者では喫煙継続者の約2倍の患者が5年生存できることになる。

 同氏らは「これらの結果は、喫煙の継続が肺がんの活動性に影響するという説を支持するもので、早期肺がん患者に禁煙治療を行うことの有効性が明らかになった」としている。

※1 コホート研究......年齢、性別、食べ物、喫煙の有無、住んでいる地域など、特定の要因を持つ集団とそうでない集団を追跡し、ある病気にかかる割合を比較する研究手法。

※2 メタ解析......過去に行われた複数の研究結果を合わせて解析し、より信頼性の高い結果を導く分析方法。メタアナリシス。

 Medical Tribune紙 2010年3月11日号 掲載

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