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うつ病の父親は子供とふれ合う時間が少ない―米研究

 2011年08月08日 18:00

 【アナーバー(米ミシガン州)】ミシガン大学小児保健評価研究ユニットのR. Neal Davis氏らの研究により、息子と同居していない黒人の父親がうつ病の場合、息子と一緒にいる時間が少ないことが分かった。詳細は米医学誌「Pediatrics」(2009; 124: 1611-1618)に発表された。同氏らによると、父親とふれ合う時間が短い場合、子供が喫煙や薬物使用などの不健康な行動を取る可能性が高まるという。

「一緒に過ごす時間少ない」が3倍に

 筆頭研究者のDavis氏らは、米疾病管理センター(CDC)が助成している「Fathers and Sons Program」に参加した黒人の父親345例のデータを分析した。このプログラムは、子供と同居していない黒人の父親と12歳以下の男児を対象としたもので、その目標は父親の子供への積極的な関与を高め、思春期の少年の不健康な行動を予防することにある。プログラムに参加した父親の36%は中等度のうつ病、11%は重度のうつ病であった。

 分析の結果、抑うつ症状を有する父親では、12歳以下の息子と一緒に過ごす時間が少ないと申告する率が3倍になることが明らかになった。このような父親は子供への親密度が低く、行動の監督を怠ることが多かった。また、息子との関係において葛藤(かっとう)が強いことが分かった。

 同氏は「父親から積極的な関与を受けない子供では、うつ病などの精神疾患や喫煙、飲酒、薬物使用、性的行動、服薬指示を守らないなどの不健康な行動をする危険性がより高かった。今回の研究結果は、そのような行動リスクを抑制する上で役立つと思われる。父親の抑うつ症状に目を向けることで、有害な健康行動リスクの高い多くの小児や青年の支援と保護を強化できる」と指摘した。

 さらに「最近、責任ある父親プログラム(responsible fatherhood programs)が全米各地の多くのコミュニティーで着手されたが、これらのプログラムには父親の抑うつ症状を確かめることと追跡を含めるべきである。黒人の父親は、子供と同居していなくても、子供の人生に良い影響を及ぼすことが可能だ。また、うつ病を治療することで、父親が子供の人生に積極的かつ肯定的に参加できるようになるだろう。医療従事者はこの点を認識し、抑うつ症状など、子供への関与に影響する事柄を理解することが重要だ」と述べている。

 Medical Tribune紙 2010年3月11日号 掲載

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