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視力の低下を感じたら―目のがんの疑いも

 2011年08月09日 10:44

 目のがんに注意を払う人が少ないが、眼球内にも悪性黒色腫や悪性リンパ腫などのがんが生じることは意外と知られていない。早期発見・治療が欠かせず、それにはまず、こうしたがんの存在を念頭に置くことが大事だ。

赤ちゃんにも

 東京医科大学眼科の後藤浩・助教授は「目の主ながんには、網膜芽細胞腫、悪性黒色腫、他の臓器から転移した腫瘍、悪性リンパ腫などがある」と説明する。この中で網膜芽細胞腫は、遺伝性のこともある赤ちゃんのがん。ほかは成人に見られるがんで、総じて増加傾向をたどっている。

 同助教授によると、中でも眼内悪性リンパ腫の診断例が増えているという。「眼内悪性リンパ腫は、眼底に混濁が生じたり、硝子体が濁ったりなどの症状を呈し、ぶどう膜炎という他の病気と間違えられやすいのです。ぶどう膜炎が治りにくい場合はこの病気が疑われることもあるので、専門医を紹介してもらうことが大切です」

 悪性黒色腫は皮膚がんとして知られているが、眼球内にも単独でできる。「悪性黒色腫は、眼球内に黒褐色の腫瘤(しゅりゅう)ができ、その発生部位によって視野の一部が欠けるといった症状を呈します」(同助教授)

肺がんや乳がんが転移

 他臓器のがんが転移したケースでは、元のがんとしては男性は肺がん、女性は乳がんが多い。「乳がんでは、乳がんの診断や治療の後に転移が発見される例が一般的ですが、肺がんなどでは、眼球内に転移してから肺のがんが発見されるケースもあります」(後藤助教授)

 症状は、視野の欠損や視力の低下が認められる。成人ならば本人の注意次第で早期発見も不可能ではないが、赤ちゃんの網膜芽細胞腫は両親の注意が欠かせない。「赤ちゃんの瞳が白く見えたり、目の位置がずれて見える場合(斜視)には、この病気の可能性もあるので、最寄りの眼科を受診すべきです」と後藤助教授。

 眼球内のがんは、発見が遅れると失明に至るばかりか、命にかかわる。目にもがんが発生することをよく理解しておきたい。

2006年9月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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