蛋白質が1日60gのときの食事
2011年08月12日 09:58
腎疾患の食事は病態や病期によっていろいろと変化します。腎機能の障害による代謝異常の是正を目的とし,障害の程度に合わせた食事を取って腎臓の負担を減らすことが大切です。
おもな食事療法のポイントは,(1)エネルギーを十分に取る:蛋白質制限時にはエネルギーを十分に取るようにします。目安は2,000kcal/日で高度の高尿素窒素血症の改善を目的とします(2)蛋白質は腎機能障害の程度によって制限,または十分に取る:腎機能が低下して糸球体濾過率が正常の50%以下になると,蛋白質の代謝産物が蓄積するので蛋白質を制限します。また,顕著な蛋白尿が見られる場合は蛋白質を補う目的で十分に取ります(3)ナトリウムを制限する:浮腫や高血圧を伴う場合は制限しましょう。一方,利尿薬使用時や代償性多尿期などで低ナトリウム血症の場合は食塩を補給します(4)極期には水分制限,カリウム制限をする:高カリウム血症は,心拍動に異常が生じ心停止を起こす可能性があるので制限します。
食事療法のなかで特に腎不全期の食事は低蛋白質,高エネルギー食が不可欠となります。この条件を自然食品のみで満たすことは容易ではありません。そのために「治療用特殊食品」が多数開発されているので,これらを上手に使うようにしましょう。
メニュー・栄養成分表示(合計)
ごはん |
牛肉とチンゲンサイの豆板醤炒め |
揚げ豆腐とナスのおろしあんかけ |
サヤインゲンのからしあえ |
モモのコンポート |
エネルギー | 729kcal |
---|---|
タンパク質 | 21.4g |
脂質 | 24.7g |
塩分 | 2.1g |
ごはん
材料(1人分)・栄養成分表示(合計)
1人分 | 200g |
エネルギー | 336kcal |
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タンパク質 | 5.0g |
塩分 | 0g |
牛肉とチンゲンサイの豆板醤炒め
材料(2人分)・栄養成分表示(合計)
牛もも肉薄切り | 100g |
片栗粉 | 小さじ2/3 |
チンゲンサイ | 120g |
シメジ | 20g |
トマト | 80g |
ニンニク | 少々 |
ショウガ | 少々 |
豆板醤 | 小さじ1/3 |
ごま油 | 大さじ1 |
しょうゆ | 小さじ1と1/3 |
A | |
しょうゆ | 小さじ1/2 |
みりん | 小さじ1/2 |
エネルギー | 186kcal |
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タンパク質 | 11.1g |
塩分 | 1.1g |
作り方
- 牛肉は一口大に切り,Aで下味を付け,片栗粉をまぶす。
- チンゲンサイは4cmの長さに切り,軸は2~3つに切る。シメジは小房に分け,トマトは薄いくし形に切る。
- フライパンにごま油を温め,ニンニク,ショウガのみじん切りを炒め,香りが出たら1を炒める。肉の色が変わったら2を加えて炒め,しんなりしてきたら豆板醤としょうゆを加えて調味する。
揚げ豆腐とナスのおろしあんかけ
材料(2人分)・栄養成分表示(合計)
木綿豆腐 | 100g |
片栗粉 | 小さじ2 |
ナス | 80g |
揚げ油 | 適宜 |
ダイコン | 60g |
おろしショウガ | 少々 |
だし | 大さじ4 |
しょうゆ | 小さじ1と1/2 |
みりん | 小さじ1 |
片栗粉 | 小さじ2/3 |
エネルギー | 156kcal |
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タンパク質 | 4.3g |
塩分 | 0.7g |
作り方
- 木綿豆腐はふきんで包んで水気を切る。
- ナスは斜めの輪切りにする。
- ダイコンはすり下ろし,水気を軽く切る。
- 揚げ油を180℃に熱し,2を入れて揚げ,取り出す。次に1の豆腐の水気をふいて片栗粉小さじ2をまぶし,薄く色付くまでカラリと揚げる。
- 鍋にだし,しょうゆ,みりんを煮立て,水溶き片栗粉でとろみを付け,3を加える。
- 4を器に盛り,5をかけておろしショウガを添える。
サヤインゲンのからしあえ
材料(2人分)・栄養成分表示(合計)
サヤインゲン | 60g |
ショウガ | 少々 |
しょうゆ | 小さじ2/3 |
だし | 小さじ2 |
からし | 少々 |
エネルギー | 8kcal |
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タンパク質 | 0.7g |
塩分 | 0.3g |
作り方
- サヤインゲンは沸騰湯でゆでて斜めに切る。
- ショウガはみじん切りにする。
- しょうゆ,だし,2,からしを合わせ,1をあえる。
モモのコンポート
材料(2人分)・栄養成分表示(合計)
黄桃缶 | 50g |
エネルギー | 43kcal |
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タンパク質 | 0.3g |
塩分 | 0g |
作り方
- 桃は食べやすい大きさに切って盛る。
宗像 伸子(むなかた のぶこ)
(有)ヘルスプランニング・ムナカタ主宰。女子栄養短期大学専攻科卒・管理栄養士。山王病院および半蔵門病院で管理栄養士として長年勤務。病院・クリニック・銀行のコンサルタント,東京家政学院大学客員教授のほか,生活習慣病予防を考える料理サロンを開催するなど多方面で活動。