乳幼児の口内炎は夏風邪の症状
2011年08月17日 16:03
飲み物や食べ物が染みて痛い口内炎を繰り返す人がいる。藤巻耳鼻咽喉科医院(千葉県)の藤巻豊院長は「口内炎は、乳幼児では夏風邪の症状ですが、大人では体力や免疫低下との関係が大きいようです」と話す。
喉が痛む場合も
口内炎は、口の中の粘膜に白っぽい膜ができる炎症で、直径は数ミリくらい、歯茎や頬の内側のほか、舌や喉にもできることがある。飲み物や食べ物が染みてあまり食べられなくなるばかりか、痛みも強く、舌にできると喉が痛む場合もある。
赤ちゃんや子供に多い口内炎は、初夏から秋にかけて多いヘルパンギーナや手足口病などの夏風邪によるもので、熱や全身のだるさなど、風邪の症状が取れても、口内炎だけが残る。
大人の口内炎は、歯や歯ブラシの刺激、金属アレルギー、細菌感染など原因はさまざまだが、はっきり原因が分からない場合もある。原因が分からずに口内炎を繰り返している人もいる。
こうした場合は、仕事が忙しくてあまり休養が取れなかった、風邪を引いた、胃の調子が悪かったなどで、体力や免疫の働きが低下したことが関係しているようだ。
口内炎を何度も繰り返している人には、胃が荒れやすい薬を常用している、あまり散歩をしない、睡眠不足が続いているなど、日常生活の中に原因があると考えられる。
生活を見直して
治療には、炎症を取るステロイドを使う。市販薬の軟こうもあるが、受診すれば症状に応じた治療が受けられる。
症状に応じた治療はいろいろあり、頬の内側の口内炎には、軟こうと同じ抗炎症薬を含んだパッチ(張り薬)を張ると、食べても飲んでも染みなくなり、食事も楽になる。軟こうを塗りにくい口の奥にできた口内炎には、スプレータイプの薬がある。
このほか、のみ薬でビタミンB6を補う方法、炎症があると治そうとする免疫の働きを促すために、治療の前に硝酸銀やレーザーで口内にわざと小さな傷を付ける方法もある。しかし、症状を改善する治療は再発を予防するものではない。
「再発の予防には、睡眠不足や過労などにならないように日常生活を見直すことです。日ごろ丈夫で疲れに気付かないような人は、体力を過信しないで疲れを癒し、逆に体力がない人は、散歩などで軽い運動を習慣付けてください」と藤巻院長。
口内炎が、治療しても治りにくいような場合は、ベーチェット病などの自己免疫疾患のこともあるので、繰り返し起こる場合は侮らずに受診した方がよいだろう。
2001年8月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)