気になる胸焼け―食道がんに進行のケースも
2011年08月23日 11:04
胸焼けを訴える人が急増している。飲み過ぎ、食べ過ぎの影響と軽視しがちだが、連日のように繰り返す場合は病気が疑われるため、医療機関で診てもらった方がよい。
胃液や胆汁が食道に
ひと口に胸焼けと言ってもさまざまであり、暴飲暴食の翌朝に起こるとか、一時的なむかつき程度であれば、特に気に留める必要はない。気を付けたいのは、胸焼けを頻繁に繰り返すケースだ。
順天堂大学医学部(東京都)上部消化管外科の鶴丸昌彦教授は「胸焼けを起こす病気は、胃・十二指腸潰瘍や糖尿病、食道裂孔ヘルニア(胃の一部が胸腔=きょうくう=側に上がってくる病気)など多いが、日本人に急増している代表的な疾患に逆流性食道炎があります」と話す。
これは、食べ物を消化する胃液や胆汁が食道に流れ込み、ジリジリした灼熱(しゃくねつ)感を伴う胸焼けを起こす。
元来、酸に弱い食道には、胃液の逆流を防ぐ仕組みが備わっているが、脂っこい食事の摂取や食べ過ぎ、肥満者の場合は逆流防止機構が壊れて、逆流性食道炎になりやすい状態となる。また、アルコールやコーヒー、チョコレートなどの刺激物も逆流を起こしやすく、胸焼け症状の原因となる。
上半身を高くして寝る
胸焼けを感じたら、胃酸の分泌を減らす薬を服用すると同時に、逆流を予防するような生活習慣に改めることが重要だ。
食事内容に気を配り、腹八分目を心掛けるほか、食後すぐに横になる行動をやめ、寝るときは背中から頭にかけてクッションなどを置いて、上半身を高くするなどの工夫も効果的だという。
ただ、胃酸の分泌を減らす市販薬に頼り過ぎるのは避けたい。市販薬で症状が消えれば問題はないが、逆流性食道炎はがんの発症率を高めるからだ。
鶴丸教授も「胃液の逆流を放置すると、扁平(へんぺい)上皮という食道の細胞が、胃と同じ円柱上皮から成るバレット食道に変化することがある。バレット食道の食道がん発生率は、正常な食道の約40倍です。頻繁に胸焼けをする人は、ぜひ定期的に内視鏡検査を受けてください」と話している。
2005年4月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)