頻繁に起こる胸焼け、食道や胃の病気のことも
2011年08月25日 17:36
胸焼けは、原因のほとんどが食べ過ぎや飲み過ぎだ。しかし、中には食道や胃などの病気が原因のこともある。胸焼けについて、虎の門病院(東京都)消化器科の星原芳雄部長に聞いた。
圧迫感やつかえも
――胸焼けとは?
通常、おなかの中央部辺りからのどの方に突き上げるような、焼ける感じを言います。人によっては、食道の下の辺りがチリチリする、圧迫感がある、胸がつかえる、などと訴えることもあります。こうした症状は、胃酸や胆汁、膵(すい)液といった消化液の逆流によって起こるのです
――なぜ、逆流が?
食道と胃の接続部には、下部食道括約部(逆流を防ぐ弁)がありますが、それが緩むと逆流しやすくなるのです。この弁は、加齢や肥満、あるいは満腹で胃が広がった場合に、一過性で緩みます。また、食道裂孔ヘルニア(胃の一部が胸腔=きょうくう=側に上がってくる病気)があると、やはり弁が緩みます。まれに、胃や十二指腸の潰瘍が原因で、胃酸が逆流することもあります
――病的な胸焼けを見分けるには?
市販の胃腸薬で治まる程度なら問題はありませんが、胸焼けが耐え難いようなときや頻繁に起こる場合は、最寄りの消化器科か内科で受診した方がよいでしょう
食べ過ぎ飲み過ぎは避けて
――診断は?
通常は、内視鏡検査で行います。日本人に多い胃がんや食道がんの早期発見のためにも、内視鏡検査のできる医療施設で受診した方がよいと思います
――治療は?
病態によって異なりますが、基本的には酸分泌を抑えるH2ブロッカーや、プロトンポンプ阻害薬と呼ばれる薬を用います
――日常のケアは?
まず、食べ過ぎ飲み過ぎを避けるべきです。飲食物では、下部食道括約部を緩めるチョコレートや、酸分泌を促進するコーヒーは、控えた方がよいでしょう。また、ミカンなど酸の多い食べ物を食べ過ぎないことです。家庭では、食道が胃の上に位置する姿勢で過ごすことを心掛け、就寝の2時間前には食事を済ませてください。このほか、帯やガードルでおなかを圧迫しないように。肥満の人は適正体重に減量すべきです。こうした心掛けは、予防にもつながります
2000年3月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)