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痔疾と決め付けないで! 血便・便通異常 (気になる症状2)

 2011年09月22日 17:36

 便に血が混じる血便を痔(じ)疾のせいだと思い込む人も多いが、腸など消化器や肛門(こうもん)に異常がある証拠で、大腸がんの症状でもある。北里大学東病院(東京都)消化器内科の勝又伴栄・助教授は「血便や便通異常があったら、ためらわずに大腸や肛門を専門としている消化器科を受診してほしい」と勧めている。

下痢や便秘にも注意

 血便がある場合、下血の色と量を調べることで、どこが悪いのか、おおよその見当が付く。下血の色については、鮮紅色ならば肛門や直腸に近いところに異常があり、黒ずんでいるときは血が変色したためで、大腸の奥の方や小腸、十二指腸、胃などに異常があると考えられる。

 便は、大腸の中ほどまでは液状なので、それより奥に異常がある場合は血と便が混じり合い、出血かどうか判断できないことが多い。肛門の近くに異常があれば、便の表面に血が付着していることもある。

 血の量での判断は、少ないときは痔疾やポリープ、がんが疑われ、大量に何回も出血するような場合は、大腸の一部が袋状に出っ張った大腸憩室症や、腸が激しい炎症を起こす薬剤性大腸炎、潰瘍性大腸炎などが疑われる。いずれも早期の受診が必要だ。

 以前から下痢や便秘など便通異常がある人は、過敏性腸症候群(IBS)か、高齢者なら腸の運動が弱いために起こる便秘のことが多い。急激な便秘は急性腸閉塞、急な下痢は食中毒や風邪でも起こる。便通異常がひどくなってきた場合は、ポリープやがんの疑いもある。

直腸診で発見も可能

 大腸がんは、肛門に近い直腸にできる場合が4~5割、それに続くS状結腸と合わせると、肛門近くにできる割合が7割になる。そこで、症状から大腸がんが疑われるときは、肛門から指を挿入して触れて診る直腸診を行う。これで、指の届く範囲のポリープやがんは発見可能だ。

 また、便の潜血検査を行い、肉眼では分からない微量の出血も調べる。ポリープやがんがあっても出血していなければ陽性にならないので、この検査を2~3回行う。1回でも陽性なら、肛門から内視鏡を挿入し、内部を調べる内視鏡検査を行う。

 内視鏡検査によって出血部位、ポリープやがんのある位置が分かる。ポリープなどがあれば、治療を兼ねて一部を切除し、がんかどうかの検査をする。

 勝又助教授は「痔疾の人にもがんができることもあるので、血便があったらいつもの出血だと決め付けないでほしい。40歳代に入ったら定期検診を受けてください」とアドバイスしている。

2000年10月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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