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子供のO脚、9割以上が治療の必要なし

 2011年10月04日 13:03

 子供のO(オー)脚は、身体的特徴としての生理的なものと、病的なタイプの2つに分かれる。東京大学医学部附属病院リハビリテーション科の芳賀信彦教授は「乳幼児に見られるO脚の9割以上は自然に起こる生理的なタイプで、治療の必要はありません。一方の病的な場合は、症状にもよるものの、適切な治療を施せば治る可能性は比較的高いでしょう」としている。

湾曲が強い場合は装具を付けることも

 赤ちゃんは生まれた時点からO脚で、1歳半ごろにそのピークを迎える。それから徐々に真っすぐになる段階を経て、3歳ごろに一時X脚に。その後はまた真っすぐな状態へと戻り、5~8歳ごろに安定する。これが子供の平均的な脚の発達過程だ。

 しかし、このような自然経過も個人によって差があるため、同じO脚でも状態にはかなりの開きがある。

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 生理的なO脚と診断されたら「治療など何もせず、成長の様子を見ていくのが一般的なスタンス」(芳賀教授)とされている。ただし、湾曲が強い場合、将来的にO脚の状態が残る可能性が高いことを懸念して装具を付けることもある。現状ではガイドラインなどはなく、医師の判断によるところが大きい。

O脚から分かる病気

 病的な場合の代表的な症例として「ブラント病」と「くる病」がある。どちらも特徴的な所見があり、大抵はレントゲン検査で判断が付くという。

 ブラント病は、脛骨(けいこつ)の内側に成長障害を起こす病気で、外側の骨ばかり成長するためO脚が悪化する。治療法としては、まず装具治療を施すが、それが有効でない場合は骨切り手術を行う。手術後は、矯正された脚に体重が均等に掛かり、順調に成長していけるようになる。

 骨の成長期に異常が起こるくる病は、ビタミンD欠乏によるものと遺伝性の2タイプに大別される。ビタミンD欠乏の症例は近年増えており、芳賀教授は原因の1つとして「アレルギーに対する過剰反応による偏った食生活」を挙げている。子供だけでなく、妊婦の食生活も赤ちゃんに影響を及ぼすため問題となっているが、一般的にはまだほとんど知られていないのが現状だ。しかし、的確な診断の下でビタミンDの補充や食事療法を行えば、数カ月程度で回復するという。

 遺伝性のくる病は根治は難しいが、ビタミンDを大量に投与するなど、さまざまな治療法によって改善していける。

 子供、特に乳幼児のO脚は病気である可能性は低いが、同教授は「左右の脚で違いが顕著な場合など、明らかな異常が認められるときは、ぜひ受診してください」と勧めている。

編集部

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