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口腔乾燥症の予防と対策は?

 2011年10月11日 12:01

高齢者の介護について、口腔乾燥症の予防と対策を教えてください。

(女性 30代)

原因療法と対症療法があります。かかりつけの医師、歯科医師に相談しましょう。

 超高齢社会の到来とともに要介護高齢者が増加しています。口腔乾燥症【図】は、生活の質(QOL: Quality of life)を大きく低下させるのみならず、局所や全身の感染症の誘因や摂食・嚥下(えんげ)障害の原因となっています。わが国では75歳以上の高齢者の約60%に口腔乾燥が認められると言われています。

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【図】口腔乾燥症患者の口腔状況

 口腔乾燥症の治療には、原因となっている生活習慣や服用薬剤、全身状態、疾患などを把握して改善する原因療法と、口腔症状やその関連症状を緩和する口腔ケアなどの対症療法とがあります。本来は原因療法を中心に考えるべきですが、現実には原因療法である薬剤の中止や唾液腺機能の回復などを行える症例は少ないので、対症療法が治療の主体となっています。特に、自分自身での口腔清掃が困難な寝たきり高齢者などでは、介助者の口腔ケアに対する知識と技術が、口腔状態を左右します。

1.原因療法

  1. 薬剤による副作用の除去・軽減
    降圧薬や利尿効果のある薬剤、向精神薬や抗うつ薬など唾液分泌抑制作用のある薬剤による唾液分泌の低下が考えられる場合は、副作用の少ない薬剤への変更や薬剤量の減量を行いましょう。
  2. 唾液分泌を促進する薬剤の使用
    シェーグレン症候群や放射線障害の口腔乾燥症に適応のある薬剤 (商品名:サリグレン®、エボザック®)などの唾液分泌改善効果のある薬剤の使用を試みます。保険適応の範囲がありますので、かかりつけの医師もしくは歯科医師に相談しましょう。
  3. 口腔機能障害に対する治療・リハビリテーション
    口腔機能が低下している可能性がある患者では、唾液分泌を促すようなリハビリテーションや口腔機能訓練を行います。すなわち、顎下腺(がっかせん)や耳下腺(じかせん)などに対するマッサージや舌体操、口腔体操などは、唾液腺に対する物理的刺激による唾液分泌改善が期待できます。口腔機能障害の原因が義歯(入れ歯)不適合や義歯不使用の場合は、歯科治療や指導により義歯を装着できるようにすることも検討してください。
  4. 水分補給
    脱水や発汗などによる急性の口腔乾燥あるいは唾液分泌低下と考えられる場合は、水分補給が有効です。
  5. 生活習慣や体質の改善
    口腔乾燥症は、生活習慣や生活環境、ストレス、末梢の血液循環状態なども大きく関連しますから、全身症状や体質についての判断も考慮しながら、生活指導、漢方治療なども含めた治療を行います。過度のアルコール飲用、過度の喫煙も口腔乾燥症の原因になります。

2.対症療法

 対症療法としては、口腔乾燥の自覚症状や唾液のネバネバ感、分泌低下による口腔の違和感、舌痛症(ぜっつうしょう)や口腔粘膜の痛み、義歯の不適合や痛み、義歯性潰瘍、アフタ性口内炎や粘膜潰瘍、咀嚼(そしゃく)障害、嚥下障害、味覚障害、構音障害などの症状を軽減して、生活の質を高めます。

  1. 口腔粘膜の保湿
    口腔乾燥による舌や口腔粘膜の痛みがある場合には、粘膜の保湿が必要で、保湿剤を含んだオーラルバランス®などを用いて、粘膜の保湿を行います。
  2. 人工睡液
    口腔内の乾燥が重度の場合や口腔内の唾液量が少ない場合には、人工唾液(サリベート®)を用います。
  3. 口呼吸への対応
    口呼吸による口腔乾燥症では、口呼吸の原因をよく調べ、耳鼻咽喉科で診断・治療を受け鼻呼吸を行うようにしましょう。口を閉じるための口腔リハビリテーションや義歯使用を試みますが、唇を閉じられない場合にはマスクを用います。
  4. 歯科受診
    義歯の適切な使用は唾液腺への刺激を促すことが知られています。口腔乾燥症の患者さんが義歯不適合や義歯不使用の場合、それ自体が口腔乾燥症の原因の1つになりえますので、歯科治療や指導により義歯を装着できるようにすることが重要です。

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