「アスペルガー症候群」とは―いじめの対象になることも
2011年10月17日 17:11
「アスペルガー症候群」とは、コミュニケーションや行動などの発達が特異的な発達障害の一種だが、言葉や知能の遅れはない。このため見逃されたり、誤解されたりするケースも多い。東京医科大学小児科の宮島祐講師によると、周りの空気が読めないなどの気質から、いじめの対象になることもあるという。
興味の範囲が限定
アスペルガー症候群は、オーストリアの小児科医の名前から付けられた診断名。その特徴について、宮島講師は「言葉や知能の遅れはないのに、周りの空気が読めないなど特異的な気質から他人とのコミュニケーションがうまく取れない傾向があります。また、興味の範囲が限られてコレクションが極端になるとか、反復的な行動、融通のなさにつながっていきます」と説明する。
例えば、まじめできちょうめんだが、相手の気持ちを推し量るのが苦手だったり、守るべきルールが守れなかったりする特徴が見られるという。
「こうした気質は集団生活を営み始める小学校低学年ぐらいに気付きやすいのですが、言葉や知能の遅れがないため見逃したり、誤解したりするケースが多いのです」(同講師)
孤立させない環境づくりを
見逃していると、成人後に社会生活を営みにくくなる。また、どうしてルールが守れないのかなどと頭ごなしにしかると、よりかたくなになって周りから浮いてしまう。その結果、いじめの対象になることもある。
「両親が子供の特異な気質に気付いたときには、小児科もしくは児童精神科の発達を専門とする医療機関を受診させてください。そこでアスペルガー症候群の概念に当てはまる場合は、その特徴を理解してあげるのが第一です」(宮島講師)
その上で両親と教育関係者が連携を取って、子供を孤立させない環境をつくることが大切だ。
宮島講師は「子供が困ったときにはいつでも話を聞いてあげられる環境をつくり、守るべきルールを分かりやすく伝える。そして、その子の気質の良い部分を伸ばしてあげるように」と勧めている。
2009年10月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)