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入院患者に弾性ストッキングはNG―米内科学会

 2011年11月04日 15:09

 脚や腕などの静脈に血の塊(血栓)ができ、それが肺などに流れて血管を詰まらせる「静脈血栓塞栓症」。「エコノミークラス症候群」とも呼ばれ、死亡することもある恐ろしい病気だ。その予防には、薬物療法のほか、強い弾力で脚を圧迫する弾性ストッキングなどが使われているが、米国内科学会は11月1日、内科の病気で入院している患者向けの静脈血栓塞栓症予防ガイドラインを発表した(米医学誌「Annals of Internal Medicine」2011; 155: 625-632)。血液をサラサラにするヘパリンなど薬での予防を推奨する一方、弾性ストッキングによる予防は推奨しないとしている。

ルーティンな予防策にも異議

 今回の推奨内容は次の通り。

  • 内科疾患(脳卒中を含む)による入院患者に静脈血栓塞栓症への予防治療を行うに当たり、血栓症および出血のリスク評価血栓の実施を推奨する(推奨グレード:強、エビデンスレベル:中等度)
  • 上記患者の出血リスクが、静脈血栓塞栓症予防で予想される利益を上回らない限り、ヘパリンやその関連薬を用いた薬剤による静脈血栓塞栓症予防療法を推奨する(推奨グレード:強、エビデンスレベル:中等度)
  • 静脈血栓塞栓症予防を目的とした弾性ストッキングによる理学的予防の実施を推奨しない(推奨グレード:強、エビデンスレベル:中等度)

 また、学会の方針として、内科の病気による入院患者では個人のリスクにかかわらず、静脈血栓塞栓症予防の「パフォーマンス評価」を支持しないとの姿勢が示されている。

 パフォーマンス評価とは、医療経済、治療効果の面から最適な治療を行うことを目的につくられた指標。米国では医療施設認定合同委員会(JCAHO)をはじめ、複数の医療系団体により作成されている。米疾病対策センター(CDC)の公式サイトにある脳卒中患者向けのパフォーマンス評価では、静脈血栓塞栓症予防が第1項目として挙げられている。

 これに対し、米国内科学会は「すべての患者に対し、ルーティンな静脈血栓塞栓症予防を行うことを前提にしたパフォーマンス評価は不適切」と反論。その上で、医師が個々の患者のリスクと利益を勘案して可否を判断すべきとの見解を示している。

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