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高齢者のうつ病、認知症と間違えるケースも

 2011年12月01日 15:07

 うつ病にかかるお年寄りが増えている。喪失感に襲われたり自責の念に駆られたりで、認知症と間違えられているケースもあるという。認知症的な症状を年齢のせいにせず、早期に精神科を受診して正確な診断をしてもらったほうがよいだろう。

意欲障害や妄想が出現

 浴風会病院(東京都)精神科の須貝佑一診療部長は、お年寄りのうつ病の特徴について次のように話す。「不眠、食欲不振、疲労感、意欲低下など基本的な症状は若い人と変わりませんが、高齢者では強い喪失感や自責の念、意欲障害、思考の妄想化といった重い症状が出やすいのです」

 意欲障害は進行とともに、これまでできていたことができなくなり、日付が分からないなどの症状が出てくる。また、思考の妄想化としては、実際にお金があるのにないと思い込む貧困妄想、罪の意識にさいなまれる罪業(ざいごう)妄想などがある。

 「こうした症状は認知症と間違えやすいのです。逆に、アルツハイマー型認知症の初期症状の30~40%にうつ状態が見られます。脳血管性うつ病といって、脳血管障害やその後遺症によるうつのケースもあります」(須貝部長)

自殺の危険性も

 このため、お年寄りの場合は、うつ病と認知症を取り違えやすく、素人判断は禁物。「うつ病を見逃していると本当の認知症になったり、自殺の危険性が高くなったりします。また、認知症に伴ううつ状態は適切な治療によって進行が抑えられ、脳血管性うつ病は改善できるので早期に精神科を受診して鑑別してもらうことが大切です」

 診断は、症状と問診に加え、磁気共鳴画像診断装置(MRI)による検査などで付く。うつ病の治療には、SSRI(選択的セロトニン再吸収阻害薬)やSNRI(選択的セロトニン・ノルアドレナリン再吸収阻害薬)が用いられる。

 「いずれも脳の神経伝達物質の活性化を図ります。早いケースでは服用後、2~3カ月で症状は改善してきます」(須貝部長)

 ただし、これらの薬は副作用として現実と夢との区別が付かなくなるような言動が出てくることもある。須貝部長は「服用中にこうした症状が見られたら、迷わず医師に相談するように」とアドバイスしている。

2008年10月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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