腰痛の薬物療法、非ステロイド抗炎症薬が効く
2011年12月01日 15:07
腰痛の薬物療法の目的は痛みを取り、生活の質(QOL)を向上させることにある。駿河台日本大学病院(東京都)の小川節郎院長(麻酔科教授)は「急性の腰痛と慢性の腰痛では、痛みの生じる原因に違いがあり、効果のある薬物も異なります」と指摘する。
張り薬やパップ剤もあり
ぎっくり腰や激しいスポーツなどが原因の急性腰痛には、アスピリンやインドメタシンなど、痛み止めと呼ばれる非ステロイド抗炎症薬(NSAID)が効果が高く、炎症を取り痛みを鎮める。
痛みがあると筋肉が縮んでさらに痛みが増すので、筋肉の緊張を緩める筋弛緩(しかん)薬を用いることがある。
また、NSAIDの入った張り薬や、それに加えて患部を冷やす効果も期待できるパップ剤なども用いられる。
慢性腰痛とは、12週間以上腰痛が続くものを指す。そのうち80%以上は、画像検査をしても明らかな原因が分からないという。
胃腸障害など注意
慢性腰痛に対しても、NSAIDは効果がある。ただし、長期間の使用や、他の病気で併用している薬によっては胃腸障害や腎臓障害を起こし、出血しやすいといった副作用が起こるので注意が必要だ。
慢性腰痛では、社会や家庭での人間関係など、心理的・社会的な問題が原因になっている例がかなり多いという。こうしたケースでは、鎮痛薬に抗うつ薬を併用すると痛みが緩和されることが多い。
また、オピオイド系鎮痛薬が慢性腰痛に有効とされる。長期間飲み続けても安全だが、作用の弱い医療用麻薬なので、他の保存療法が効果がなかったり、他の鎮痛薬が適当でなかったりする場合に使うことがある。
小川院長は「急性腰痛が生じたり、慢性的な腰痛を抱えたりしていたら、まず整形外科で診断してもらうこと。腰痛を緩和する薬はいろいろな種類があります。痛み止めを飲んで効き目がないようだったり胃の調子が悪くなったりしたら、そのことを医師に正しく伝えてください」と助言している。
2009年10月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)