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耳垂れがあったら要注意―風邪の後の真珠腫性中耳炎

 2011年12月14日 08:39

 風邪をひいた後に耳の穴から膿(うみ)状の耳垂れ(みみだれ)が出る場合は、鼓膜に炎症を起こした真珠腫(しんじゅしゅ)性中耳炎の可能性がある。耳垂れ程度と軽く見ていると、進行して骨まで破壊され、顔面神経麻痺(まひ)などを起こすことがあり、注意が必要だ。東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科の田中康広講師に聞いた。

出血、目まいも

 真珠腫性中耳炎は、慢性中耳炎の一種。田中講師は「鼓膜の一部分が中耳側にへこんで袋を作り、そこに皮膚のかすがたまって丸い玉のようになって炎症を起こす病気です。先天性と後天性に大別されますが、圧倒的に後天性が多く、通常は真珠腫性中耳炎というと後天性を指します」と説明する。

 はっきりした原因は分かっていないが、1つには鼓膜の内と外の圧力差に伴って起こると考えられている。初期症状は耳垂れと難聴で、ひどくなると出血することもある。

 「耳垂れ程度だと軽視しがちですが、真珠腫は徐々に大きくなり骨を破壊します。そうなると顔面神経の麻痺で顔が曲がったり、目まいを伴ったりします。実際、私どもの所では毎年、顔面神経麻痺から真珠腫性中耳炎が発見される人が何人もいます」(田中講師)

治療の基本は手術

 発見が遅れると日常生活に支障を来し、脳の髄膜炎を併発する危険性もある。「風邪をひいた後の耳垂れで気付くケースが多いのですが、こうした症状を自覚したときは念のため最寄りの耳鼻咽喉科を受診すべきです」(田中講師)

 診断は、内視鏡による鼓膜の観察とコンピューター断層撮影装置(CT)による検査で付く。治療の基本は手術で、真珠腫を取り除き、中耳内の気圧が正常に保たれるようにする。手術法は病態によって異なるが、真珠腫を大きく削った場合は、その跡に耳あかがたまりやすくなることがある。

 田中講師は「こうしたケースでは自分で耳あかを取り除きにくいので、たまり方に応じて1~6カ月に1回は耳鼻咽喉科で除去してもらう必要があります」とし、再発する可能性もあるので半年から1年に1回は定期検診を受けるようアドバイスしている。

2008年11月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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