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進行速いレビー小体型認知症 (物忘れ3)

 2012年01月05日 15:07

 レビー小体型認知症というタイプの認知症が注目されている。いないはずの人が見えるといった幻視がこの病気の特徴的症状で、認知症の20%ほどを占める。順天堂大学医学部付属順天堂東京江東高齢者医療センターの井関栄三准教授(認知症研究センター臨床研究部門長)に聞いた。

行動異常でトラブルも

 レビー小体型認知症は、レビー小体という異常なタンパク構造物が大脳の神経細胞にたまり、細胞が死んでいくことによって起こる。

 レビー小体が脳幹の神経細胞にたまるパーキンソン病は、手足の震えや転びやすいなどの運動障害が出る病気で、レビー小体型認知症と合わせてレビー小体病と呼ぶ研究者もいる。

 アルツハイマー病では記憶に関係する海馬という部分の萎縮(いしゅく)が目立つが、レビー小体型認知症では少ない。このため、記憶障害はあるが、程度は軽い。ただ、実際の行動能力などが低下してくるので、実生活ではトラブルが起こってしまう。

 この病気で最も特徴的な症状は、記憶障害が軽いうちから、存在しない人や物が見えるといった幻視が現れること。「部屋に子供や知人がいる」「人が外を通り過ぎた」「床に虫がはっている」などと訴える。

 また、多くの患者には病気になる前から寝ているときに大声で叫んだり暴れたりする行動異常が見られる。進行はアルツハイマー病より速く、進行するとパーキンソン病のような運動障害が表れる。

主に薬物で治療

 治療は、それぞれの症状に応じて主に薬物療法が行われる。アルツハイマー病に使われる塩酸ドネペジルは、認知障害や幻視・行動異常に効果があるといわれる。幻視・行動異常が治まらないときには非定型抗精神障害薬や漢方薬の抑肝散(よくかんさん)も使われる。

 これら二種類の薬は今のところ保険適用外だが、そのほかの治験中の薬も含めて現場の期待は大きい。また、パーキンソン病の症状には、パーキンソン病の治療薬が使われている。

 井関准教授は「記憶障害が軽くても、幻視や睡眠時の行動異常があったら『もの忘れ外来』など専門医に相談するとよいでしょう」とアドバイスしている。

2008年12月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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