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早期の関節リウマチ治療―注目の生物学的製剤

 2012年01月12日 16:07

 中年女性に多い関節リウマチ。国内には約70万人の患者がいるとされるが、大きな悩みが、関節の破壊。リウマチの炎症はサイトカインというタンパク質が原因となって引き起こされる。今、そのサイトカインの働きを抑える「生物学的製剤」が、破壊を防ぐ治療法として注目されている。

12カ月で15%が寛解

 関節リウマチは、自己免疫疾患の1つ。免疫の異常によって関節を包む滑膜に炎症が生じ、進行するにつれて関節が破壊されていく病気だ。最新の薬物療法について、東京女子医科大学東医療センター整形外科の神戸克明准教授は、次のように話す。

 「初期には消炎鎮痛薬で対応し、関節に腫れが出てきたときにはメソトレキサートなどの抗リウマチ薬を用いるのが一般的です。さらに最近はマウスなどにたんぱく質を作らせて薬にした生物学的製剤が用いられるようになり、治療成績が著しく向上しています」

 同科では、抗リウマチ薬で炎症が取れないケースなどに生物学的製剤のインフリキシマブを使用している。「使用を始めて約1年後に132人中20人が医学用語で言う治癒に近い寛解の状態になり、治療を中止しました。うち4人は、薬剤不要寛解といって、より治癒に近い全く薬を必要としない状態でした」

感染症の恐れも

 こうした治療成績を見て神戸准教授は、生物学的製剤のメリットとして(1)関節の破壊を予防できる、(2)関節破壊がわずかなら修復が可能、(3)ステロイド薬の服用量を減らせる―などを挙げる。

 「リウマチ専門医のいる施設では、こうしたメリットを生かし、早い段階から抗リウマチ薬と生物学的製剤を併用する治療法が普及してきています」(同准教授)

 一方、デメリットは、進行した症例に用いると感染症を起こしやすくなること。また、生物学的製剤は2カ月に1回の点滴注入になる場合があるが、そのときは1日の入院が要る。

 同准教授は「生物学的製剤を効果的に用いるには、やはり早期の発見・治療が大切です。早期の関節リウマチで生物学的製剤による治療を希望する場合は、かかっている医師に相談するとよいでしょう。この治療は、QOL(生活の質)に大きなプラスになると思います」と話している。

2008年12月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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