血圧は左右両方測るべき? 血管疾患予測に有用―英分析
2012年02月03日 09:31
英エクセター大学ヘルスサービス研究所のChristopher E. Clark氏らは、上腕左右の収縮期(最大)血圧の差が血管疾患や死亡にどう影響するのかを、一般住民を対象とした20報の論文を分析。その結果、左右で15ミリメートルHg以上差があると、手足などの末梢(まっしょう)血管疾患、脳梗塞の再発、心筋梗塞など心血管疾患による死亡(心血管死)、すべての原因による死亡(全死亡)と関連し、10ミリメートルHg以上だと末梢血管疾患と関連することが明らかになった。詳細は1月30日付の米医学誌「Lancet」(電子版)に掲載されている。
診療指針では20ミリメートルHg以上を「異常」
英国立臨床評価研究所(NICE)の高血圧診療ガイドラインでは、上腕の収縮期血圧の左右差が10ミリメートルHg未満を正常、20ミリメートルHg以上を異常としているが、10~19ミリメートルHgについては示されていない。
そこでClark氏らは、収縮期血圧の左右差が10ミリメートルHg以上と、15ミリメートルHg以上での血管疾患および死亡への影響について、、左右の上腕収縮期血圧と末梢血管疾患、心血管死、全死亡を検討した研究(いずれも18歳以上が対象)の20報の系統的レビュー※1とメタ解析※2を行った。
その結果、収縮期血圧の左右差は、10ミリメートルHg以上で鎖骨下動脈狭窄(きょうさく)症、末梢血管疾患と関連があることが示された。また、左右差15ミリメートルHg以上でも末梢血管疾患と関連することも明らかになった。さらに、収縮期血圧の左右差が15ミリメートルHg以上で関連が認められたのは、脳梗塞の再発、心血管死、全死亡だった。
診療指針に取り入れるべき
今回の解析により、収縮期血圧の左右差が心血管疾患や予後に影響を与えることが明らかになったとClark氏。今後、両腕の収縮期血圧を測定し、左右差による末梢血管疾患などの検診法を高血圧ガイドラインに取り入れるべきとしている。
なお、英国高血圧学会第4次勧告では、新規高血圧患者に対し両腕での血圧測定を推奨しているが、国内の一般開業医には定着していない現状があるという。
(編集部)