嫌な感じがして眠れない! 女性に多いむずむず脚症候群
2012年02月03日 09:59
脚がむずむずして、眠れなくなる「むずむず脚症候群」には、日本では250~350万人が悩まされているとみられる。代々木睡眠クリニック(東京都)の井上雄一院長は「的確な治療を受ければ9割以上の患者さんは改善します。自然に治ることはほとんどないので、専門医の治療を受けてください」と呼び掛けている。
神経伝達物質に障害か
むずむず脚症候群では、じっとしているときに脚の中を虫がはっているようなむずむずする嫌な感じがし、じっとしていられなくなる。体を静止している夜中などに起きやすいため、眠れないと訴える人が多い。「神経伝達物質であるドーパミンの機能障害が原因と考えられている慢性疾患です。男性に比べて女性は1.5倍も多く、特に50歳代以降に目立ちます」(井上院長)
腎不全、鉄欠乏性貧血、パーキンソン病、リウマチなどの病気にかかっている人や、妊娠中の女性に起きやすい。睡眠薬が効かない難治性の睡眠障害の人の中にも、むずむず脚症候群の人が少なくないとみられている。若年で発症するケースでは、近親者にこの病気の人がいることが多いという。
パーキンソン病薬で改善
むずむず脚症候群の人の約3分の1は症状が中等症以上に進んでいるとみられ、治療が必要になる。日本では主にパーキンソン病の薬が使われている。「パーキンソン病の薬は、ドーパミンの機能を促進する働きがあり、パーキンソン病の治療で用いる10分の1以下の量で9割以上の人に高い効果があります」(井上院長)
しかし、問題は、適切な治療を受けているのが「全患者さんの5%にも満たない」(同院長)と言うほど、この病気の認知度が低いこと。皮膚科や整形外科で診察を受けるケースが少なくないことも要因とみられている。
井上院長は「カフェインやアルコール、ニコチンが発症の誘因になることがあり、軽度ならこうした物を控えるだけで改善する場合もあります。ただ、脚がむずがゆくて日常生活や睡眠に支障があるようなら、日本睡眠学会の認定医か、神経内科や精神科で診断受けた方がよいでしょう」と話している。
日本睡眠学会の認定医は、同学会の公式サイトに掲載されている。
2008年2月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)