声がかれる声帯麻痺―食道がんや肺がん疑って
2012年02月13日 09:59
風邪やカラオケなどで声をからしやすい季節だが、長引く場合は声帯麻痺(まひ)に注意したい。声帯麻痺は声がれが主な症状で、食道がんや肺がんなど重篤な病気の初発症状として出るケースが多い。国際医療福祉大学東京ボイスセンターの福田宏之教授に聞いた。
7割は重い疾患
声帯麻痺は、声帯の動きを調節している反回(はんかい)神経の障害によって起こる。福田教授は「原因が分からないケースもありますが、約7割は食道がんや肺がん、縦隔腫瘍(じゅうかくしゅよう)、甲状腺がん、大動脈瘤(りゅう)など重篤な疾患です」と説明する。
症状は通常の声がれと違い、
- 息漏れがするような声がれ
- 発声が2~3秒程度しか続けられない
- 声帯が締まらないので誤嚥(ごえん)してむせる
―といった特徴がある。
こうした症状を自覚したときは、まず耳鼻咽喉科を受診して、ファイバースコープで声帯の状態を診てもらうべきだ。
「声帯麻痺と診断が付けば、単純エックス線検査、食道造影や食道鏡検査、コンピューター断層撮影装置(CT)による胸部と頸部(けいぶ=首)の検査、甲状腺の超音波とシンチグラム検査(放射線検査の一種)を受けて、原因疾患を究明することが大切です」
原因疾患が分かれば当然その治療を優先し、ある程度落ち着いてから声帯まひの治療が取られる。
「麻痺は治りませんが、声帯のリハビリや手術で生活の質を高められるので根気よく治療を」と、福田教授はアドバイスしている。
2009年12月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)