舌に痛みがありますが、病気でしょうか?
2012年02月21日 17:00
<専門家へきいてみよう 「質問する」より>
〔症例〕 40代 男性
〔症状〕 舌の痛みが気になり出しました。病気でしょうか?
舌の痛み・口の乾燥・味覚異常があれば舌痛症、ドライマウスの可能性もあります。
舌に痛みを感じる症状を「舌痛(ぜっつう)」と呼びます。舌の表面に異常が見られず、明らかな原因が不明なときには狭義で「舌痛症」と診断されます。
舌の粘膜に異常がなく、舌痛を感じる原因には下記の疾患が考えられます。
これらが原因で起こる舌の痛みも含めると、広義で「舌痛症」と呼ぶこともあります。
・ビタミンB欠乏症
・貧 血
・糖尿病
・微量元素(鉄、亜鉛、銅など)の欠乏
・感染症(カンジダ症など)
・高血圧
・動脈硬化
・薬剤の副作用
・口腔乾燥症
原因が不明の「舌痛症」は、歯科心身症の代表的疾患ともされています。しかも、その患者さんの多くはドライマウスの症状を伴います。
舌痛症の症状は、次のとおりです。
(1)舌の先や縁に「ヒリヒリ」「ピリピリ」した痛みや灼熱感が長期間続く。
(2)舌に病理学的・解剖学的な異常は認められない。
(3)食事中や何かに熱中している間は痛みを感じないことが多い。
(4)口腔乾燥感、「ザラザラした感じ」および味覚異常をしばしば伴う。
味覚異常を伴っている場合には、血液中の亜鉛欠乏が原因となっている場合もあります。更年期の女性に多いことから、ホルモンのアンバランスや自律神経の変調なども関係があるようです。
最も有効な治療法は薬物療法です。アミトリプチリンなどの三環系、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI; Selective Serotonin Reuptake Inhibitors)、セロトニン・ノルアドレナリン取り込み阻害薬(SNRI; Serotonin-Noradrenaline Reuptake Inhibitor)などの抗うつ薬が有効です。
なかでも、最も効果があるのはアミトリプチリンですが、副作用を考慮するとSNRIやSSRIが第1選択薬とされます。
注意が必要な点は、ここで処方される抗うつ薬はうつ病との診断が確定して処方されるわけではないことです。これらの薬剤には抗うつ効果とは異なる働きで鎮痛効果があるため、処方されるのです。
なお、漢方薬(柴胡加竜骨牡蛎湯®)が奏効することもあります。