アレルギー報告の「茶のしずく」調査開始―厚労省など
2012年03月15日 10:08
多くの被害者を出した小麦成分入りせっけん、旧「茶のしずく石鹸」。その調査を開始することを、厚生労働省および日本アレルギー学会の「化粧品中のタンパク加水分解物の安全性に関する特別委員会」(委員長=藤田保健衛生大学・松永佳世子教授)が発表した。現時点までに同製品使用に関連した全身性コムギアレルギーの報告は395例に上り、アナフィラキシーショック例も多く含まれるという。医薬部外品の外用による全身性アレルギーはこれまでにほとんど例がなく、同委員会は「本事例は、日本のアレルギー史上極めて重大な事例」として、早急に詳細な調査が必要と述べている。
実際は1,000~1,500人が被害か
加水分解コムギ末(グルパール®19S)含有の「茶のしずく石鹸」によるアレルギー疾患は、大きな社会的問題と松永委員長。昨年7月から特別委員会が設置されて情報収集などが行われてきたが、今回、厚生労働科学研究として詳細な調査を実施することになったとしている。
現在、同製品および類似の製品は販売が中止され、企業が回収を行っている。
しかし、せっけんは贈答品として使用される機会も多いことなどから、なかなか回収は進んでいないようだ。さらに、今回の事案はせっけんの外用を続けた結果、せっけんそのものではなく、運動や食事など別の要因でアレルギーが発症する特殊性から、両者の関連に気付いていないケースも多いとみられている。
これまで同委員会が把握している、「茶のしずく石鹸」による全身性コムギアレルギーと確定診断された人の数は少なくとも395例。同氏らは、正確な症例数が把握できていないが、実際は1,000~1,500例に上るのではないかと推測する。
同製品によるアレルギー診断基準として、以下の3点が示されている。
- 加水分解コムギ末(グルパール®19S)を含有する「茶のしずく石鹸」などを使用したことがある
- 同製品使用から数分~30分以内にかゆみ、眼瞼(がんけん)浮腫、鼻汁、膨疹などが出現した
- 小麦製品摂取後4時間以内にかゆみ、膨疹、眼瞼浮腫、鼻汁、呼吸困難、悪心、嘔吐(おうと)、腹痛、下痢、血圧低下などの全身症状が出た
調査は、当該症例の診察を経験した医師を対象にしたもので、実施期間は2012年3月12日~15年3月31日。4月12日に第1回の報告が行われ、以後毎月中間報告を行っていく予定という。
(編集部)