痛み止めの頻繁な服用で炎症性腸疾患リスク上昇―米研究
2012年04月05日 10:36
痛み止めや解熱薬などとして使われている非ステロイド抗炎症薬(NSAID)の頻繁な服用は、炎症性腸疾患(クローン病と潰瘍性大腸炎)の発症リスクに関係すると、米ハーバード大学のAshwin N. Ananthakrishnan氏らが、3月6日付の米医学誌「Annals of Internal Medicine」(2012; 156: 350-359)に発表した。
潰瘍性大腸炎は1.87倍
大腸などの消化管に炎症や潰瘍ができる潰瘍性大腸炎とクローン病は、ともに原因不明とされており、厚生労働省の特定疾患に指定されている。これまで、一部の研究でNSAIDとアスピリンが両疾患の発症と関係する可能性が示唆されているという。
Ananthakrishnan氏らは、米国の女性看護師を対象とした研究の参加者7万6,795人を1990~2008年に追跡し、NSAIDおよびアスピリンの服用と炎症性腸疾患発症との関係を検討した。
18年間の追跡で123人がクローン病、117例が潰瘍性大腸炎を発症。NSAIDを1カ月に15日以上服用する群では、非服用群に比べ潰瘍性大腸炎の発症リスクが1.87倍、クローン病発症リスクが1.59倍だった。
一方、NSAIDの低頻度の服用とアスピリンには、潰瘍性大腸炎およびクローン病との明らかな関係は認められなかったという。
(編集部)