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1時間に1人の子供が不慮の事故で死亡―米調査

 2012年04月19日 13:51

 米疾病管理センター(CDC)は、2000~09年の10年間で米国に住む子供(0~19歳)の不慮の事故による死亡が30%減少したことを報告した。ただし、不慮の事故は依然として子供の死因の首位を占めており、1時間に1人が死亡しているとの試算も示されている。

1歳未満の窒息死と15歳以上の薬物中毒死が増加

 2009年の1年間に、自動車事故などの不慮の事故で死亡した子供の数は9,143人。CDCは、1時間に1人が死亡していると試算している。年間死亡者数は2000年に比べ約30%減少したものの、不慮の事故が子供の死因の首位であることには変わらない。

 また、0~14歳の不慮の事故による死亡率は10万人当たり8.7人で、他の高所得国と比べて最も悪く、最も死亡率の低いスウェーデン(同2.0人)の4倍に上っていたという。

 CDCは今回、子供の事故死の詳しい内訳を初めて報告している。それによると、最も多かったのは自動車事故死で、2009年の全死亡件数9,143件の半数の4,564件だった。ただし、2000年に比べると41%減少した。減少の背景には、チャイルドシート着用の徹底が進んできたことなどが挙げられている。

 このほか、溺死(983件、2000年に比べ28%減)、火事・熱傷による死亡(391件、同45%減)、転落死(151件、同19%減)の減少が見られた。一方、窒息死(1,160件、同30%増)、中毒死(824件、同80%増)が増加。窒息死は特に1歳未満で54%増だったほか、15~19歳の処方箋薬の過剰服用による死亡は91%増加していたという。

 CDCは、子供の不慮の事故に関する問題意識を向上させ、国全体で事故減少に取り組む必要があると提言している。

日本には情報収集システム存在せず

 なお、こうしたデータの収集には、米国では1978年から実施されてきた医療・福祉・行政などの多職種が関わる情報収集システム「チャイルド・デス・レビュー」の寄与するところが大きいようだ。

 一方、日本には子供の死亡に関する十分な情報収集システムがないという。今年1月、日本小児科学会の小児死亡登録・検証委員会(委員長=山中龍宏氏)が、日本でのシステム確立に向けた提言書を学会公式サイトで公表した。日本での諸問題、海外の現状がまとめられている。

 序言では「そもそも死ぬ蓋然(がいぜん)性がない子供を死なせないことは社会の責任であり、小児が死亡した場合、その死が予防可能であったか、同様の事例の死亡を防ぐためにはどのような施策が必要かといった議論が重要」で、これは「死亡した子供への最低限の礼儀であり、子供の死を無駄にしないという社会の覚悟の表れ」と述べられている。

(編集部)

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