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定期接種のポリオワクチン、9月1日に不活化へ

 2012年04月24日 13:51

 4月23日、厚生労働省の「第3回不活化ポリオワクチンの円滑な導入に関する検討会」(座長=川崎市衛生研究所・岡部信彦所長)では、定期接種として単独不活化ポリオワクチンの一斉切り替えを今年9月1日に行うことが明らかになった。ジフテリア・百日咳・破傷風および不活化ポリオワクチンの四種混合ワクチンは、11月以降の導入が予定されているという。現在、ワクチン関連ポリオ麻痺(まひ)への懸念から、接種控えが指摘されている経口生ポリオワクチンはこの時期をもって定期接種としては使用されなくなる。

移行措置は約3年を予定

 現在、日本の多くの自治体では経口生ポリオワクチンの集団接種が春と秋の年2回行われており、これとは別に三種混合ワクチンの個別接種が通年で実施されている。9月以降は生ワクチンが不活化ワクチンの個別接種に切り替わるため、それまでの三種混合ワクチン、生ワクチンまたは不活化ワクチンの接種歴に応じた基礎免疫の完了が勧奨されることになる。厚労省が示した基本的な接種案は次の通り。

  • 三種混合ワクチン、経口生ポリオワクチンまたは不活化ポリオワクチンの未接種者...四種混合ワクチン導入まで単独不活化ポリオワクチンを4回接種、四種混合ワクチン導入以降は同ワクチンを4回接種
  • 経口生ポリオワクチン1回既接種者...単独不活化ポリオワクチンを計3回接種
  • 不活化ポリオワクチン既接種者...単独不活化ポリオワクチンを計4回となるよう接種
  • 経口生ポリオワクチン2回あるいは不活化ポリオワクチン4回既接種者...接種不要

 不活化ポリオワクチン切り替えに当たり、今後は予防接種法の省令改正なども行われる。今回の検討会では、従来の三種混合ワクチン同様、生後3~12カ月に3回の基礎免疫、12~18カ月に1回の追加免疫を行う案が示された。ただし、単独不活化ポリオワクチンの場合、向こう3年程度の移行期間を設け、この間に三種混合ワクチンの既接種者や経口生ポリオワクチン1回既接種者、あるいは医師の個人輸入による不活化ポリオワクチン既接種者らが、一定の間隔に基づいて必要回数の接種を行える措置も盛り込まれる見通しだ。

4回接種完了後の対応も今後検討

 今回、厚労省が示した案では、定期接種としては原則、1歳半までに4回の不活化ポリオワクチンを完了することとされている。一方、不活化ポリオワクチン切り替えを既に完了している米国では、生後2~18カ月に3回の不活化ポリオワクチンを、就学前(4~6歳)に4回目の不活化ポリオワクチン追加を行うことが推奨されている。

 4回の不活化ポリオワクチン接種完了に関する日本の治験データはまだない。また、米国では乳幼児期に不活化ポリオワクチンを完了していても、ポリオ流行地域への渡航の際には不活化ワクチンまたは生ワクチンのさらなる追加接種が推奨されていることなどを踏まえ、この点は今後の検討課題とされた。

 なお、米国では就学前の不活化ポリオワクチン4回目と同時期に三種混合ワクチンの5回目、MMR(麻疹=はしか=、ムンプス=おたふく風邪=、風疹=三日ばしか=)ワクチンおよび水痘ワクチンの2回目の接種が推奨されている。

 川崎医科大学小児科の中野貴司教授は、同検討会に当たり、生ワクチンから不活化ワクチンへの切り替えを行った海外諸国の事例を分析。厚労省案で示された不活化ワクチン一斉切り替え後の規定回数の接種による基礎免疫の獲得に、問題はないだろうとの見方を示した。

(編集部)

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