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顔にできやすい皮膚がん―転移なくても重症化例

 2012年04月24日 16:18

 皮膚がんは、顔など紫外線が当たる場所にできやすく、高齢者に多い。多くの種類があるが、比較的頻度が高い基底細胞がんと有棘(ゆうきょく)細胞がんについて、がん・感染症センター都立駒込病院皮膚科の吉野公二医長に聞いた。がんとその周辺の切除手術が治療の基本だが、有棘細胞がんで転移があれば抗がん薬による治療になるという。

基底細胞がんは黒色

 皮膚の最も外側の層を表皮というが、表皮はさらに外側から内に向かい角質層、顆粒(かりゅう)層、有棘層、基底層という4層に分かれている。

 皮膚がんは、主に表皮から発生し、体の奥へと増殖していく。皮膚がんはどの細胞ががん化するかによって、幾つもの種類に分かれる。

 基底層に起きる基底細胞がんは黒色でほくろのように見えるが、てかてかと光沢がある。リンパ節や内臓への転移はゼロと言ってもよいが、局所で深く進行しやすく筋肉や骨まで破壊することがある。

 治療は病変部とその周囲の切除が基本。きちんと切除できれば完全に治癒するが、切除範囲が狭かったために、がん細胞を取り切れず再発してしまうこともあるので注意だ。

有棘細胞がんは紅色

 有棘層の有棘細胞がんは、紫外線だけでなくやけどや放射線も原因となる。紅色で表面がかさかさに乾燥しており、湿疹のようにも見える。進行すると、カリフラワー状に盛り上がり転移しやすくなる。

 内臓に転移していなければ切除手術を行う。切除範囲が広い場合は、近くの皮膚を引き延ばして覆う皮弁手術か、ももや背中などの皮膚を移植する。転移の有無を確かめるため、最も転移しやすいリンパ節を検査するセンチネルリンパ節生検を行う。もし、内臓に転移していれば抗がん薬主体の治療になる。

 ステロイド薬を1~2週間塗っても反応がないような湿疹だと、このタイプが疑われる。

 また、転移しやすいメラノーマという皮膚がんは、墨汁を垂らしたような色調をしている。

 吉野医長は「皮膚がんかどうかは、ダーモスコープという拡大鏡による視診と、症状からほぼ診断できます。気になったら専門医を受診してください」と助言している。

(編集部)

2009年6月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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