中耳炎に使う抗生物質で子供の低血糖、痙攣など38件
2012年04月26日 13:51
医薬品医療機器総合機構(PMDA)は4月25日、ピボキシル基を含有する抗生物質に関する適正使用のお願いを公式サイトに掲載した。同薬は子供の中耳炎などの感染症に広く用いられている。情報によると、今年1月末までに同薬を使用した子供が、低カルニチン血症による低血糖症状や痙攣(けいれん)を呈したなど38件の副作用報告が寄せられているという。
母親の服用による新生児の発症例も
今回の注意喚起は、日本小児科学会の薬事委員会の報告に基づいて出されたとみられる。最も副作用報告の多かった年齢は1歳で、38例中20例を占めていた。38例中31例に低血糖が見られたほか、痙攣や振戦(ふるえ)症状が24例、後遺症ありの症例が3例報告されている。もともと乳幼児では血中のカルニチンが少ないことも、副作用発症と関連するようだ。
副作用発現までの薬剤使用期間は「14日間以上」が27例で最も多く、「14日間未満」が9例。中には投与開始翌日の発症例も報告されている。
代表的な症例として、急性中耳炎で同薬を4カ月間使用していたところ、手足を強く突っ張る全身強直痙攣、意識レベル低下、脳浮腫などを伴う重篤な低カルニチン血症を発症した1歳男児の例や、腎盂腎炎により妊娠後期に同薬を服用していた母親から出生した子供に低カルニチン血症が認められた症例も報告されている。
日本国内で現在使用されているピボキシル基を有する抗生物質は以下の通り。PMDAは「これらの薬剤を切り替えて使用しても、ピボキシル基を有する抗生物質を継続して投与したことになる。長期の漫然とした使用は避けて」と呼び掛けている。
ピボキシル基を有する抗生物質の商品名(発売元)
セフカペンピボキシル塩酸塩水和物:
- フロモックス(塩野義製薬)
- セフカペンピボキシル塩酸塩「サワイ」(沢井製薬)
- セフカペンピボキシル塩酸塩「トーワ」(シー・エイチ・オー新薬)
- セフカペンピボキシル塩酸塩「TCK」(辰巳化学)
- セフカペンピボキシル塩酸塩「CH」(長生堂製薬)
- セフカペンピボキシル塩酸塩「トーワ」(東和薬品)
- セフカペンピボキシル塩酸塩「日医工」(日医工)
- セフカペンピボキシル塩酸塩「JG」(日本ジェネリック)
- セフカペンピボキシル塩酸塩「マイラン」(マイラン製薬)
- セフカペンピボキシル塩酸塩「YD」(株式会社陽進堂)
セフジトレンピボキシル:
- メイアクトMS(MeijiSeikaファルマ)
- セフジトレンピボキシル「タイヨー」(テバ製薬)
- セフジトレンピボキシル「サワイ」(沢井製薬)
- セフジトレンピボキシル「CH」(長生堂製薬)
- セフジトレンピボキシル「トーワ」(東和薬品)
- セフジトレンピボキシル「日医工」(日医工)
- セフジトレンピボキシル「EMEC」(メディサ新薬)
セフテラムピボキシル:
- トミロン(富山化学工業)
- セトラート(沢井製薬)
- ソマトロン(テバ製薬)
- テラミロン(東和薬品)
- テラセフロン(日医工)
テビペネムピボキシル:
- オラペネム(MeijiSeikaファルマ)
ピブメシリナム塩酸塩:
- メリシン(武田薬品工業)
(編集部)