メニューを開く 検索

トップ »  疾患・健康ニュース「あなたの健康百科」 »  増え続けるエイズ患者、コンドーム徹底で感染防止を

疾患・健康ニュース「あなたの健康百科」一覧

増え続けるエイズ患者、コンドーム徹底で感染防止を

 2012年05月18日 14:48

 先進国の中では、唯一日本だけでエイズ患者が増え続けている。背景に危機意識の低さと無関心があり、エイズウイルス(HIV)への感染を防ぐため、性行為の最初からコンドームを使用することが重要だ。東京逓信病院の木村哲院長(エイズ予防財団理事長)は「不安があれば早期に検査を」と呼び掛けている。

最新のエイズ(HIV感染)発生報告数と年間推移を見る

感染初期に風邪症状

 木村院長によると、性行為によってHIVに感染する人は年間約1,400人。そのうち約400人がエイズを発症しているという。「日本では2008年現在、血液製剤による感染例を除き、エイズ患者とHIV感染者の数は合わせて約1万4,000人と報告されています。しかし、実際にはその5倍はいると推定されています。感染を防げる病気なので、まず予防を心掛けるべきです」

 それには、HIV感染症が性行為感染症であることを理解し、異性間・同性間を問わず性行為の際はコンドームを使用するのが第一。行為の最初から用いるべきだが、現実には徹底されていないことが感染者の増加に結び付いている。

 「HIVに感染すると、7~8割の人は感染後2週間前後頃に、リンパ節や喉の腫れ、微熱、頭痛など風邪に似た症状が出てきます」(木村院長)

早期治療で健康維持

 こうした症状は1~2週間で自然に消失するため見逃されやすいが、性行為後に風邪に似た症状を自覚したときは注意した方がよい。

 「感染して3カ月後ぐらいまでにHIV抗体ができるので、それ以降に保健所などで検査を受けるべきです。初期症状がなくてもリスクの高い性行為を持ったと思う場合は、同様に検査を受けた方がよいでしょう。保健所では匿名、無料で受けられます」(木村院長)

 検査で陰性ならば一応安心できる。陽性でも早期に発見できれば、有効な治療が受けられる。

 木村院長は「3~4種類の薬を併用するカクテル療法はエイズ発症前ならほぼ100%有効で、免疫力が回復して健康維持が可能です。現にこの治療法が普及し始めた1995年以降、米国ではエイズ患者が激減しています。しかし、日本では検査を受ける人が少ないため治療薬の出番がなく、エイズを発症してしまう人が増え続けているのです」と話す。

 エイズ予防財団ではエイズに関する相談を受け付けている。電話番号は03-5259-1811。

(編集部)

2008年7月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

ワンクリックアンケート

大阪万博まであと1年

トップ »  疾患・健康ニュース「あなたの健康百科」 »  増え続けるエイズ患者、コンドーム徹底で感染防止を