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カモミールや歯磨き粉も...身近なもので生命の危機に

 2012年05月21日 10:29

 重篤なアレルギー反応であるアナフィラキシーを起こすと、生命の危険にさらされる恐れがある。ドイツ・ミュンヘン工科大学医学部のKnut Brockow教授は「至る所にアナフィラキシーの原因が潜んでいる」と、第2回アレルギー学アップデート・セミナーでその危険性を指摘。カモミールや歯磨き粉など身近なものが原因となることもあり、また薬剤や運動、気管支ぜんそくの既往にも注意が必要だとした。

ぜんそく、アトピー患者は注意を

 生命を脅かす重篤なアナフィラキシーの発生率は、過小評価されていることが多い。発生率は年間10万人当たり50~2,000人と幅があり、信頼できるデータは少ない。

 アナフィラキシーを起こして救急外来を受診する子供は、食べ物が原因で発生するケースが最も多く、虫刺されや薬剤の服用がそれに続く。一方、成人のアナフィラキシーの原因は虫刺されが最も多く、次いで薬剤の服用、3番目が食べ物だ。

 食べ物の場合、ピーナツやクルミの摂取によることが最も多く、次いで牛乳、鶏卵、魚が続く。そばもアナフィラキシーを起こすことが指摘されているが、そのほかにも大豆、エンドウ豆、ヒヨコ豆、さらにはゴマやローヤルゼリー、カモミールも重篤なアナフィラキシーを起こして生命を脅かすことがあるため、注意が必要となる。

 また、アレルギーの原因食物の摂取に、アルコールの摂取または身体活動やストレス、痛み止め(非ステロイド抗炎症薬=NSAID)の服用が加わることで、抗原タンパク質が腸から吸収されやすくなり、アナフィラキシーを引き起こすこともあるという。その典型的な例が、小麦に含まれるタンパク質に対するアレルギー反応(食物依存性運動誘発性アナフィラキシー)だが、こうしたケースが最近増加しているようだ。

 さらに、同教授は「食物アレルギーで重篤なアナフィラキシーを起こして死亡した患者のほぼ全例で、気管支ぜんそくが認められた。つまり、ぜんそくはアナフィラキシーの危険因子と見なすことができる」と推測。ぜんそくをはじめ、アトピーを有している患者では、アナフィラキシーにいっそう注意する必要があるとした。

化粧品でも...原因は防腐剤

 病院内でアナフィラキシーが起こった場合、主に薬剤が原因となっている。死に至るアナフィラキシーは薬剤によることが多く、そのほとんどが手術の前後に投与されているという。そのため、NSAIDやβ-ラクタム系の抗生物質、DNAジャイレース阻害薬によるアナフィラキシーのリスクについても、過小評価してはならない。

 また、逆流性食道炎などの治療に使われる胃薬のPPI(プロトンポンプ阻害薬)によるアナフィラキシーの報告も増加しており、Brockow教授も実際の発生数はかなり多いと推測している。また、関節リウマチや乾癬(かんせん)を治療する生物学的製剤によるアナフィラキシーの報告も増加していると指摘した。

 そのほか、例えば歯磨き粉や化粧品でアナフィラキシーが起こることもある。同教授は、これについて「こうした製品に殺菌剤や防腐剤として含有されているクロルヘキシジンが皮膚や粘膜に付着すると、重篤なアナフィラキシーを起こす可能性がある」と説明した。

(編集部)

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